FIA(国際自動車連盟)は、F1ベルギーGPのスタート時に発生したシャルル・ルクレールのクラッシュにおいて、エアロスクリーンの安全効果はヘイローの10%に過ぎなかったと考えている。FIAは、F1ベルギーGPの1コーナーで発生したフェルナンド・アロンソとシャルル・ルクレールに事故を調査。ニコ・ヒュルケンベルグのブレーキングミスで追突されたアロンソのマシンは、ルクレールの頭上をかすめてクラッシュした。
FIAは、コックピット保護デバイスのヘイロー(Halo)がシャルル・ルクレールの怪我を防ぐことにおいて重要な役割を果たしたと結論付けている。公式調査によると、シャルル・ルクレールのマシンに搭載されたヘイローは、フェルナンド・アロンソの右フロントホールが接触したことで発生した58kNの衝撃に耐えたとされ、シャルル・ルクレールのヘルメットへ直撃することを防いだとしている。今季からF1に導入されたヘイローは、その審美的な理由から反対があり、レッドブルとフェラーリといった派閥は、インディカーも研究しているウインドシールド型の“エアロスクリーン”コンセプトを追求することを望んでいた。だが、FIAのレースディレクターを務めるチャーリー・ホワイティングは、F1ベルギーGPのような性質の事故では、エアロスクリーンはあまり効果的ではなかったと述べた。「スパの事故を検討したところ、インディカーによってテストされた種類のデバイスはおそらく有効ではなかっただろう。おおらくヘイローの保護効果の約10%しか提供しなかった」とチャーリー・ホワイティングはコメント。現状、FIAはヘイローコミットしており、2021年にF1に導入される新レギュレーションでは、ヘイローがF1マシンの全体的なデザインにより統合されて見えるように取り組んでいる。FIAのセーフティディレクターを務めるアダム・ベイカーは「次世代のヘイローは、2021年に計画されているF1レギュレーションのアップデートの一部となるだろう」とコメント。「重要なことは、ヘイローは最初からマシンコンセプトのキーコンセプトであり、本格的な構造的統合とクルマの外形に視覚的に融合したカタチを可能にする」今年、F2で発生した牧野任祐と福住仁嶺の事故、そして、F1ベルギーGPのシャルル・ルクレールの事故は、FIAに安全性をさらに改善するための豊富なデータを与えた。例えば、ヘイローに適用される荷重の計算は、次世代F1マシンの設計において新しい素材の仕様のための性能基準および範囲を決定する際に役立つことになる。FIAの次のステップは、ヘイロー自体にハイスピードカメラを組み込むことであり、フォーミュラEのGen2から導入される。「新しいカメラの位置は、ステアリングホイールを妨害することなく、状態のより優れた景観とコックピット環境との相互作用を与える」とアダム・ベイカーはコメント。「ヘイロー・カメラは、フォーミュラEの開幕戦となるリヤドで全マシンに搭載される。その後、2019年にはF1に適用され、2020年にはF2にも採用される予定となっている」