FIAのレースディレクターを務めるチャーリー・ホワイティングは、F1イギリスGPでの新しいDRSゾーンでの事故は、フラップをオープンするという“ドライバーの選択”に責任があるものだと考えている。F1イギリスGPが開催されたシルバーストンでは、ホームストレートからターン2までコーナーを含む区間に新たに3つ目のDRSゾーンが追加された。
通常、DRSはストレートエンドでブレーキを踏めば自動的に解除されることになるが、この新しいDRSゾーンではドライバーはDRSをオープンにして進入しつつ、コーナーではダウンフォースを回復させるためにマニュアルで一旦DRSを閉じ、再びオープンにすることで対応していた。金曜フリー走行では、ロマン・グロージャン(ハース)がDRSを閉じるボタンを押すことができず、オープンにしたままでターン1でコースオフでバリアに激しくクラッシュ。ダメージはモノコックまで及び、午後のセッションには参加できなかった。決勝でもマーカス・エリクソン(ザウバー)が同じようにボタンを押せなかったことでバリアに高速でクラッシュしている。幸いにもエリクソンに怪我はなかった。チャーリー・ホワイティングは、すでに全開だったターン1とターン2に新たに追加されたDRSゾーンをチャンスを得るかどうかの“選択”をするのはドライバーの手に委ねられていたと語る。「ターン1でコントロールを失ったドライバーの事故があったと思う。彼らはマシンに対する他の操作と同じように、自身のターン1でDRSをオープンにすることを選択していた」「どんなクルマであろうとドライバーにとってはチャレンジングだ。彼らは全開で走れないような状況でも全開で走ろうとしてスピンを喫することがある」「それと同じだ。彼らの選択だ。彼らはできると思ったら試すことができるが、そうすることは必須ではない。チームやドライバーが他の選択するのと同じようにね」しかし、チャーリー・ホワイティングは、シルバーストンに追加した新しいDRSゾーンは、オーバーテイクには役立たなかったと認める。「実際には(追加のDRSゾーンが)オーバーテイクに役立ったとは思っていない。ドライバーたちがこれまでよりも少し近づくことができ、ターン5と6の間のストレートでの攻撃するためにより良いポジションにいるというアイデアだった」また、チャーリー・ホワイティングが、ドライバーに自分たちの意志でDRSを使用する自由が与えられたことには反対だと語った。「意味があることだとは思わない。なぜなら、ただ単に速いラップタイムを出すためだけのものになってしまうらだ。DRSの本質は、レース中にドライバーが使用可能な場所で使ってオーバーテイクを促進していくことにある。FIAは、オーバーテイクを促進するために次戦F1ドイツGPにも3つ目のDRSゾーンを追加する。「ピットストレートに検知ポイントとDRSゾーンが追加され、ターン1とターン2に続く。ターン6へのメインのDRSゾーンは少し長くなる」とチャーリー・ホワイティングは語った。