フェラーリF1は、ルイス・ハミルトンとの関係について、外部から受け取られている印象ほど悪化していないと強調している。7度の世界王者にとって厳しい内容となった加入初年度を経ても、マラネロ内部では忍耐と冷静な評価を求める声が上がっている。タイトル獲得を目標にフェラーリF1へ移籍したハミルトンだが、2025年シーズンは困難の連続だった。SF-25への適応に苦しみ、全体的なパフォーマンスは期待を下回った。数少ない明るい材料は、加入2戦目となった中国GPスプリントでの勝利に限られている。
それ以外では、ハミルトンはフェラーリF1でグランプリの表彰台に一度も上がれず、チームも今世紀5年目となる無勝利シーズンを終えた。しかもマシンの競争力は2024年より明らかに低下していた。ルクレールとの比較が生んだ厳しい視線技術的な問題に加え、シャルル・ルクレールとの比較もハミルトンには不利に働いた。ルクレールはチームメイトより86ポイント多く獲得し、シーズンを通して前線で戦い、フロントローまたは表彰台に7度登場している。それでも最終的なドライバーズランキングでは両者の差は1つだけで、ハミルトンは6位、ルクレールは5位という結果だった。終盤戦で高まった緊張感シーズン終盤には不安感がさらに強まった。ハミルトンは最終3戦すべてでQ1敗退を喫し、マシンを最大限に引き出せないことへの苛立ちを隠さなかった。メディアでの発言も注目を集め、フェラーリF1の会長ジョン・エルカーンが「話すことを減らし、運転に集中すべきだ」と述べたメッセージは、ルクレールよりもハミルトンに向けられたものだと受け止められた。「外から見えるほど悪くない」内部の評価しかし舞台裏では、フェラーリF1は状況をより前向きに捉えている。サーキットエンジニアリング責任者のマッテオ・トニナッリは、ハミルトンのようなドライバーにとってチーム移籍がいかに難しいかを強調する。「皆さんご存じのとおり、特にルイスのように10年間同じ組織で走ってきたドライバーにとって、チームを変えるのは非常に難しい。ドライバーにとってもチームにとってもだ。なぜなら、各チームは少しずつやり方が違うからだ」彼は、長年染み付いた習慣の影響を指摘する。「特定の人たちと仕事をすることに慣れているし、物事を進めるやり方にも慣れている」「そして背景を考えれば、ルイスは世界選手権を争ってきたドライバーだ。今年、我々がタイトル争いをできなかったのは事実だ」「そのフラストレーションが積み重なり、今の状況を生んでいる」それでもトニナッリは、外部の見方は誇張されていると断言する。「外から見えていると思われているものは、実際よりもはるかに悪く見えている。ルイスとの関係、ルイスと一緒に築いているものは、非常にポジティブだ」10年と10か月の差初年度を振り返り、トニナッリは関係性が大きく前進したと語る。「10年間同じチーム、同じ人たちと仕事をしてきて、その後わずか10か月だ。そう考えれば、すでに非常に、非常に強固なチームになっていると思う」結果が出なかったことが、実態以上にネガティブな印象を生んだとも付け加えた。「フラストレーションと結果が、我々自身やフェラーリF1について、現実よりもはるかに悪いイメージを作り出している」「苛立ちはあるが、互いに適応するには時間が必要だということを双方が受け入れている」結果こそが最良の処方箋トニナッリは最後に、改善の鍵はパフォーマンスだと強調する。ハミルトンが2026年に向けて自身のレースチーム内の再編を望んでいる点についても、冷静に受け止めている。「繰り返すが、関係が皆さんの思っているほど悪いとは思わない。時間とともに必ず改善できる。結果こそが最大の助けだ。競争力のあるクルマを与え、結果を出すことが不可欠だ。我々は競争者であり、彼も競争者だ。だから負けたときのフラストレーションは非常に大きい」