フェラーリ会長ジョン・エルカーンがドライバー陣へ異例の“注文”を出した直後、ラルフ・シューマッハが新たな波紋を呼んでいる。シューマッハは英Sky Deutschlandで「フェラーリはルイス・ハミルトンではなく、オリバー・ベアマンを起用すべきだ」と主張し、イタリアの名門に大胆な選択を迫った。発言は、ブラジルGPでのハミルトンのミス多発レースを受けて一気に注目を集めている。
ラルフ「ハミルトンはもう全てがギリギリ」ラルフ・シューマッハはまず、20歳のルーキー、オリバー・ベアマンの価値を強調した。「フェラーリにはハースで素晴らしい働きをしている若いベアマンがいる。コストはハミルトンの“ほんの一部”だ」と述べ、ハミルトンが“高い二桁の数字を稼ぐ”と指摘した。さらにシューマッハは、41歳を迎えるハミルトンのパフォーマンス限界を懸念する。「フィルムが速くなりすぎてしまった、そんな印象だ。速いラップを出すのにエネルギーを使いすぎる。ルクレールを相手に100%以上を出さなければならず、それがミスにつながっている」ブラジルGPでのミスとペナルティについても「マシンをコントロールできず、ミスをして、罰を受けるばかりだ」と厳しい評価を下した。「払って退団させるのは珍しくない」フェラーリの歴史にも言及シューマッハはSkyのポッドキャストでも発言を繰り返し、「契約を買い取って退団させることはフェラーリでは珍しくない」とコメント。若手のベアマンを起用するほうが合理的だと強調した。一方、フェラーリ広報はエルカーンの“もっと黙って仕事に集中しろ”という趣旨の発言について、「批判ではなく建設的なメッセージ」と火消しに追われている。オラフ・モル「ベアマンは勢いが止まらない」オランダの解説者オラフ・モルもZiggo Sportでこの議論に参加した。「ハミルトンのシーズンは期待外れだ。しかしベアマンは勢いがある。ハースで4戦連続ポイントを取っている」とし、もしハミルトンが“もう難しい”と判断した場合には「ベアマンが理想の後継者だ。彼は“クラウンプリンス(後継王子)”だ」と語った。ドーンボス「週末ごとに250万ユーロ払って何も得られていない」元F1ドライバーのロバート・ドーンボスも、エルカーンの苛立ちは深刻だと分析する。「フェラーリは毎週末、ハミルトンに250万ユーロも払っているのに、見返りがない。奇跡が必要だ」と辛辣だ。ダナー「ハミルトンはもう“チームを形作る存在”ではない」クリスティアン・ダナーはMotorsport-Magazinで、ハミルトンの“集中力の欠如”を指摘した。「今はあまりにも多くのことが同時に起きている。彼はトラック上のことに以前ほど集中できていない」さらに、フェラーリを改革する力があるかについても懐疑的だ。「ハミルトンがフェラーリを自分の思い描いたように変えられるとは思わない。彼は“チームアーキテクト”ではない。インスパイアすることはできるが、形作ることはできない」フェラーリの2026年計画に“ベアマン案”が浮上今回の一連の騒動で、2026年のフェラーリ体制をめぐる議論はさらに激化している。ハミルトンは加入初年度から厳しいシーズンを送り、ルクレールとの比較でも後れを取る場面が多い。一方で、ハースで安定してポイントを重ねるルーキーのベアマンは、フェラーリ育成として理想的な候補に浮上しつつある。40代に突入するハミルトンを“高額で起用し続けるべきか”、それとも“若さとコスト効率を重視すべきか”。フェラーリ内部での議論は避けられそうにない。
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