フェラーリは、2020年F1マシンに完全に集中することはないとし、SF90の開発を継続して後半戦の初勝利を目指すと誓う。夏休み前最後のレースとなったF1ハンガリーGPで、フェラーリはセバスチャン・ベッテルが3位、シャルル・ルクレールが4位でフィニッシュしたが、優勝争いに絡むことはできず、レースウィナーのルイス・ハミルトンから1分以上も遅れてチェッカーを受けることになった。
今季のフェラーリは、高速コーナーやストレートスピードは優れているものの、高いダウンフォースが必要なサーキットや低速コーナーでは苦戦を強いられている。メルセデスとレッドブルと比較して、フェラーリは十分なダウンフォースを生成できておらず、これがピレリのF1タイヤを適切な作動温度力機に維持することにも影響を及ぼしている。フェラーリのF1チーム代表を務めるマッティア・ビノットは「我々が説明すべきなのはハンガリーでハミルトンに対して1分以上遅れたことではなく、1週間前には最速マシンだったのにどうして今回は最速でなかったのかを説明すべきだと思う」とコメント。 「しばしば言うように、それは非常にトラックに依存している。我々のクルマは最大のダウンフォースが不足しているため、最大のダウンフォースが必要なブダペストのようなサーキットにいるときは苦戦を強いられる」「そして、予選よりもレースで苦しんでいるのは、予選のシングルラップでは、最終的にタイヤのグリップがダウンフォースの不足に対処しているからだ。しかし、ロングディスタンスの走行では、スライドし、タイヤがオーバーヒートし、状況はより複雑になる」 フェラーリは、シーズン序盤に抱えた弱点を改善するために、マシン全体のコンセプトを変更することなく、ストレートスピードを犠牲にしてでもダウンフォースを追加するためにF1フランスGP以降でほぼ毎戦でアップグレードを投入している。だが、すべてのアップデートが成功したわけでない。 夏休み後のスパ・フランコルシャンとモンツァでの2戦はフェラーリに適していると考えられているが、シンガポールでは最大ダウンフォースの問題に再び直面することになる。マッティア・ビノットはフェラーリが2019年F1マシンを断念することはないとしながらも、2020年に向けて大幅な前進が必要であることは十分に理解していると語る。 「ダウンフォースを最大限までつけないサーキットがあるため、その場合は異なってくる可能性がある。我々が今年中にすでにより多くのダウンフォースを求めているのは確かだ」「シーズン後半は、マシンにかけることのできるダウンフォースを最大限にしようとしる。来年のマシンにはさらに多くのダウンフォースが必要になる」「我々は、競合チームがダウンフォースをかける方向で来年のマシンを開発していることを分かっている。現在のギャップを単一のターゲットと考えることはできない。それ以上でなければならない」2019年は大幅な空力レギュレーション変更が導入されたが、2020年は手クニカルレギュレーションの変更は予定されていない。そのため、今シーズンの開発が来年のマシンに利点をもたらすことを願うとマッティア・ビノットは語る。 「来年は同じレギュレーションであるからだけでなく、今年できることは来年のマシンにも利益をもたらすだろう。まだ多くのレースがあり、フェラーリとして勝利はない。少なくとも我々にはゴールと目標がある。そのため、今シーズンでもベストを尽くすためにできる限りのことをしなければならない」 今年のフェラーリはストレートで0.5秒相当のパワーアドバンテージがあるとされ、F1ベルギーGPとF1イタリアGPではそれが利点になると予想されている。 「それらのレースはパワーセンシティブ寄りなので、競争力が発揮されるはずだと考えているが、何も保証されているわけではない」とマッティア・ビノットは語る。「我々のライバルたちは誰もが非常に強力であり、我々は自分たちとの勝負でもある。状況はブダペストと異なってくるだろうし、初勝利を狙えるように自分たちにやれるベストを尽くして準備するつもりだ」