F1の各チーム代表は、フェラーリが有しているF1レギュレーション変更の“拒否権”を終わりにすべきだと主張した。1950年にF1世界選手権が始まってから唯一の参戦を続け、最も多くの成功を収めているチームであるフェラーリは、F1で特権的なステータスと巨大な権力を持っている。フェラーリには長期参戦のプレミアムボーナスが与えられており、この10年はタイトルから遠ざかっているが、毎年の分配金は全チームのなかで最も多額となっている。
それだけでなく、特定の条件下ではあるが、F1レギュレーション変更への拒否権を持っている。FIAは、2005年にF1のライバルシリーズ立ち上げの動きがあった際にフェラーリと協定を結び、正式にレギュレーション変更に関する拒否権を与えおり、実際、2015年にフェラーリがカスタマーエンジンのコストキャップ導入計画に反対した際に発動された。F1は、2021年以降のスポーツの方向性について重要な決断を迫らなければならない時期に迫っている。F1モナコGPのフリー走行後にはクリスチャン・ホーナー(レッドブル)、クレア・ウィリアムズ(ウィリアムズ)、ザク・ブラウン(マクラーレン)、シリル・アビテブール(ルノー)が記者会見に参加。拒否権は“全てのチームを守る”ためのものであるというフェラーリのF1チーム代表マッティア・ビノットの考えに反論。長年にわたってフェラーリが有している拒否権が、F1が国際化された現代においてはもはや受け入れられるものではないという意見で一致した。レッドブルのクリスチャン・ホーナーは、拒否権は“時代遅れ”だとし、「“全てのチームを守るための安全策だ”と言うのは簡単だが、結局のところ、彼らが代表しているのはフェラーリでしかない」とコメント。「白紙して、拒否権がなくなれば、全チームに同じルールを適用することなどが意味をなすかもしれない」ウィリアムズのクレア・ウィリアムズは「正直、馬鹿げていると思います」とコメント。「今のF1には問題があり、民主主義からかけ離れすぎている。1チームだけが拒否権を持つべきだとはまったく思いません。私にはまったく理解できないと述べた。マクラーレンのザク・ブラウンは、各チームが重要視するものはそれぞれであるとし、最終的にF1チームの代表者が管理するべきは、関係するすべての人にとって利益になるではあるべきだと述べた。ルノーのシリル・アビテブールは「私が思うに、F1は保守的ではなく革新的な姿勢を取らなければならない。F1にとってポジティブになると理解、確信できる適正な手続きを妨げる力というのは良いものではないかもしれない」と語った。