フェラーリの昨年から今年にかけてのパフォーマンス改善の裏には燃料と潤滑油を供給するシェルの力があった。昨年ランキング4位で終えたフェラーリだが、今シーズンは3勝を挙げて、ランキング2位でシーズンを終えた。その躍進の背景にはパワーユニットのパフォーマンス向上だけでなく、シェルが開発した今季仕様の燃料と潤滑油も影響していたという。
シェルは、シーズン中のパワーユニットのアップグレードに合わせて合計で5種類の燃料を新しく供給していた。シェルのイノベーションマネージャーであるガイ・ラブトは「我々の開発プログラムは常にアブレッシブだ」コメント。「今年新しい5つの燃料製剤を供給した。その結果、パワーユニット全体のパフォーマンスを25%向上させることができた。それは相当なマージンとなった」「実際サーキットのラップタイムに換算すると、1周あたり約0.5秒、1レース全体で約30秒の改善に繋がった」「シーズン中のパワーユニットのアップグレードに合わせて、我々も燃料を最適化させ、その時々に合ったベストなものを供給している。フェラーリとともにシーズンを通してそれを行ってきた」2016年も一部のパワーユニット開発が認められており、ガイ・ラブトは燃料と潤滑油がもたらす役割はさらに重要なものになる考えている。「技術的な観点から言えば、興味深いことに、現在の規約にはまだ我々が持っている能力を発揮できるチャンスがあった」「パワーユニットが進化すれば、それに見合った燃料や潤滑油も必要になってくる。今年はフェラーリとともにそれを成し遂げることができたので、今後も継続して開発プログラムも積極的に進めていきたい」シェルは、燃料の供給に関してはF1でも長い歴史を持っており、フェラーリとはミハエル・シューマッハが加入した1996年からタッグを組んで今年で20年目を迎えた。この長期的なパートナーシップで生み出されたノウハウや経験が、以前と比較してパワーユニットの開発が制限された現在でもパフォーマンスの向上に繋がっている。