レッドブルF1のジュニアドライバーであり、ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)の一環としてヨーロッパを拠点に活動する岩佐歩夢は、2022年FIA F2選手権にステップアップ。バーレーンで初戦を迎えた。今シーズンのFIA F2選手権はレースフォーマットが変更され、土曜日に予選順位上位10位がリバースグリッドとなるスプリントレースが、日曜日に予選順位でスタートしタイヤ交換が義務付けられるフィーチャーレースが行われる。
岩佐歩夢は3月19日金曜日に行われたフリープラクティスで2番手と好調な滑り出しを見せたものの、予選ではアウトラップでスピンしコースサイドにストップ。ノータイムの結果で22番手となった。3月20日土曜日午後7時40分、スプリントレースのフォーメーションラップがスタート。気温17℃、路面温度21℃のコンディションで、岩佐歩夢は最後尾、11列目22番手からのスタート。好スタートを切った岩佐歩夢は第1コーナまでに3台をパスし19番手に浮上。3周目に1台がスピンしセーフティカーが導入。岩佐歩夢は18番手となる。6周目にレースが再開され、タイヤマネージメントに気を配りながらも前車をパスした岩佐歩夢は8周目に14番手までポジションを上げた。14周目に1台を抜き、15周目に2台が接触し脱落し、残り8周時点で岩佐歩夢は11番手となる。レース終盤、タイヤが厳しくなりペースが落ちるクルマが出始めるが、岩佐歩夢歩はペースを上げて前との差を詰め、19周目、21周目、22周目に前車をオーバーテイクしポジションアップ。入賞圏内の8番手でチェッカーフラッグを受けた。最後尾からのスタートながら、終盤の追い上げで8位入賞を果たした岩佐歩夢は、F2初レースでポイント獲得を果たした。岩佐歩夢「最後尾からのスタートでしたが、8位という結果でリカバリーが果たせたことはうれしく思います。予選はクルマもドライバーも悪くない状況だったので、とても残念な結果でした。自分としてもかなり落ち込んだのですが、チームからも励ましてもらい、リフレッシュできて立ち直れたことが大きな一因だと思います。データからも、速さがあることは分かっていたので、レース前には切り替えてポジティブにレースを迎えることができました。スタートはうまくいって、3台をパスすることができました。その後のタイヤマネージメントも悪くなく、レース終盤はペースの落ちたクルマを比較的スムーズにパスすることができました。しかし、タイヤマネージメントについてはもっと詰められるところがあるので、しっかり改善点を見つけて次に臨みたいと思います。初めてのF2のレースでしたが、接近した戦いなどはF3と大きな違いはないと感じましたが、タイヤマネージメントはよりシビアなものなので、今日の経験を活かしたいと思います。明日のフィーチャーレースは全くの未知数で、今日のレースとは別の戦いになると思っています。改善すべき点をしっかり出して、自分のポテンシャルをちゃんと発揮することを目標にがんばります」前日のスプリントレースで8位入賞を果たした岩佐歩夢は、タイヤ交換が義務付けられるフィーチャーレースに挑んだ。予選順位でのスタートとなるため、岩佐歩夢は最後尾22番手からのスタート。午後1時40分、気温28℃、路面温度44℃と、前日とは全く異なるコンディションの下フォーメーションラップがスタート。温度の高いコンディションを考慮し、スタートではハードタイヤでスタートするドライバーが多い中、岩佐歩夢はソフトタイヤを選択。その戦略が功を奏し、岩佐歩夢はスタートダッシュを効かせてポジションアップに成功する。スタートで18番手に上がった岩佐歩夢はその後もオーバーテイクを重ね、1周目を14番手で終了。ハードタイヤ勢にペースで勝り、7周目には入賞圏内の10番手にまでポジションを上げた。その後も岩佐歩夢のペースは落ちることなく、アグレッシブな攻めの走りを重ねて12周目には7番手に上がり、さらに上位に迫る勢い。ソフトタイヤの保ちが予想以上と見たハードタイヤ勢は早めのタイヤ交換に切り替え、14周目から続々とピットイン。ソフトタイヤながらあまりペースの落ちない岩佐歩夢はその間にポジションを上げて、15周目にトップに立つ。19周目にピットインした岩佐歩夢はピット作業に若干時間を費やし10番手でレースに戻る。ペースを上げる岩佐歩夢は再び上位を追撃し、オーバーテイクを決めて24周目には7番手までポジションを戻し、さらに上位に迫る。27周目、スピンしたマシンがコース上にストップしセーフティカー(SC)が導入された。この間にピットインした数台のマシンのタイヤ交換作業にトラブルが発生し、SC解除が延びる。結局1時間の時間制限を目前にして、31周目にレースが再開。残り1周の戦いとなった。タイヤコンディションとペースの速さから岩佐歩夢のポジションアップが見込まれたが、レース再開とともに岩佐歩夢はスローダウン。最終ラップの戦いに加わることなく、最後尾までポジションを落としピットインし、レースを終えた。結果は16位となり、連続入賞目前だった岩佐歩夢にとっては悔しいレースとなった。岩佐歩夢「今日のレースは、かなりいい形で進められました。タイヤ戦略も少数派のソフトタイヤでのスタートでしたが、それがうまく働いていいレースだったと思います。最後はSC中にウォーターポンプが故障し水温が上がってエンジンが壊れてしまいました。タイヤもペースもまだまだいけたので、5番手まで上がることは可能だっただけに、とても悔しい結果です。マシンはペースがあり、自分のドライビングもソフト、ハードのタイヤにうまく対応できたので、チームにも自分にも収穫があったレースとポジティブに捉えたいと思います。今後の課題としては、まず今回の予選のようなミスを犯さないことと、一発の速さがまだ足りないと思っています。次のサウジアラビアは高速コーナーばかりのコースで、自分のドライビングスタイルとして、ハイスピードへの対応は課題の一つなので、うまくアジャストさせるチャンスと考えてトライしたいと思います」