2026年F1シーズンは新レギュレーションによるパワーユニット時代の幕開けとなったが、その中でポジティブなスタートを切ったメーカーもある。レッドブル・フォードとアウディは、ともにF1で初めて自社開発のパワーユニットを投入し、開幕から競争力あるパフォーマンスを見せている。開幕戦オーストラリアGPでは、ミルトンキーンズ製のエンジンを搭載したマックス・フェルスタッペンが6位、アービッド・リンドブラッドが8位に入りポイントを獲得。
さらにアウディの初レースでもガブリエル・ボルトレトが9位に入り、上海で行われている中国GPでも両メーカーはトップ10争いに加わっている。ゼロから始まったレッドブルのエンジン計画レッドブルのパワーユニット計画は2020年までさかのぼる。ホンダがF1プロジェクトからの撤退を発表した後、クリスチャン・ホーナーは市場を調査したうえで、ミルトンキーンズに自前のエンジン工場を設立する決断を下した。2025年までは日本のエンジニアが設計したホンダ製パワーユニットを凍結仕様で使用していたが、その運用にはRBパワートレインズのスタッフも関与しており、他チームから引き抜いた人材も多く加わっていた。そして最大の挑戦は、2026年用パワーユニットをゼロから設計・開発し、初年度から一定の成功を収めることだった。多くのライバルは、そのエネルギー回生性能をすでに高く評価している。レッドブルのチーム代表ローラン・メキースは次のように語った。「まずはミルトンキーンズの工場を称えるべきだ。3〜4年前にはレースチームの隣にある敷地にすぎなかったが、今ではパワーユニットのすべての作業を行う施設になっている」「メルボルンに行ったとき、僕たちはエンジンについてほとんど話さなかった。レッドブル・フォードのパワーユニットで走るのが初めてだったことさえ忘れてしまうほどだった。これは驚くべき節目だし、忘れてしまうほど問題がないというのは良い兆候だ」「間違いなく歴史的な出来事だ。新しい基準を打ち立てたと言えるし、4年前にゼロから開発を始めたすべての人々の功績だ」F1初参戦のアウディが直面する課題一方、アウディのケースはさらに特異だ。同社はこれまで公式にF1へ参戦した経験がなく、2026年からシャシーとパワーユニットの両方を自社で開発する完全ワークス体制で参戦している。しかしモータースポーツでの実績は豊富で、ル・マン24時間レースではディーゼルやハイブリッド車で13勝を記録し、2024年のダカール・ラリーでは電動パワートレインで総合優勝を果たしている。チーム代表ジョナサン・ウィートリーはこう語った。「F1に参入するというのはブランドの選択だけではない。シャシーとエンジンの両方を開発するメーカーになるという挑戦でもある」「ノイブルクの工場が短期間で成し遂げたことは信じられない。膨大な作業量と努力、そしてエネルギーが注がれている。サーキットやテストで見つかった問題への答えを探し、それを解決してきた。我々は新しいシャシーと新しいパワーユニットを同時に統合している」走行距離の差という現実レッドブルは同じパワーユニットを使用する2チーム、合計4台のマシンをグリッドに送り出している。一方でアウディは、ガブリエル・ボルトレトとニコ・ヒュルケンベルグの2台のみでデータを収集している。現時点では他チームへのエンジン供給を検討する段階にはないが、走行距離の不足が開発速度に影響することはチームも認めている。「カスタマーへ供給できる段階に到達するまでには、まだ長い道のりがある」とウィートリーは語る。「テストでのメルセデスのエンジンの走行距離を見ると、我々がかなり信頼性の高いプログラムで達成できた距離の4倍にもなる。つまり彼らは我々より速いペースで学習しているということだ」「ただ、我々はまだプロジェクトの初期段階だ。目標は強力なライバルになることであり、競争力のある形でそれを実現することだ」「現代のF1パワーユニットは信じられないほど複雑だ。現代のF1エンジンを作ることは本当に困難だが、同時に非常にエキサイティングでもある。技術が我々に猛烈なスピードで学習することを要求してくる」