F1チームは、FIA(自動車連盟)が違法と思われるトリックへの対策に動いていることを受け、今週末のイタリアGP以降、フレキシブルウイングに対する新たな取り締まりに直面するようだ。今月初めに報じられたように、FIAは各チームが許容範囲の限界を押し広げていると考え、今季前半戦のフレキシブルウイングを厳しくチェックしてきた。
アストンマーティンを含むいくつかのF1チームは、アゼルバイジャンGP前後にルール違反にならないようフロントウイングのデザインを変更するようアドバイスを受けていたことが分かっている。しかし、レギュレーションを回避しようとする試みを阻止するための強化努力の一環として、FIAは現在、フレキシブルボディワークに関して容認できないデザインだと考えるものをまとめた正式な技術指令を発行した。FIAは「意図的にデザインされた局所的なコンプライアンス領域」と「隣接するコンポーネント間の相対的な動き」を悪用して空力性能を大幅に向上させていると考えているとしている。FIAは、このような設計はF1技術規則3.2.2に違反しているとし、空力性能に影響を与えるすべてのコンポーネントは「第3.3条で定義された参照フレームに対して堅固に固定され、動かない」ものでなければならないと定めている。さらに、これらのコンポーネントは「いかなる状況においても、均一で、強固で、硬く、連続的で、不浸透性の表面を作り出さなければならない」とされている。FIAは、チームが通常の負荷テストでは検出できない方法でフロントウイングやリアウイングのエレメントを回転させたり、曲げたりする高度なシステムを悪用していると考えているため、今回の措置に踏み切った。FIAは「局所的なコンプライアンスや自由度を利用したアセンブリー設計は認められない」と明言している。FIAは、技術規則に違反すると考えられる4つの主要な設計要素について説明したが、それ以外にも違法となる可能性のあるアイデアがあることを示唆している。1) 固定された車体に対して垂直方向、縦方向、横方向に異動できるウイング要素。2) 固定されたボディワークに対して相対的に回転することができるウイング要素。3) エラストマーフィレット、ウイング形状のコンプライアントセクション、または薄いフレキシブルラミネートを接合部に利用した設計で、そのコンポーネントが取り付けられている車体に対して局所的なたわみを許容するように、変形、面外へのたわみ、またはねじれを許容することができるもの。4) コンポーネントアセンブリのたわみによる「局所的な亀裂」を防ぐため、翼要素の後縁に「柔らかい」ものを使用した設計。例外として認められるのは、フロアアセンブリ、ビブボディワーク、フロントウィングフラップの密閉性を高めるための小さな横方向の隙間の開口部のみとなっている。これまでは、チームのフレキシウィングに対するFIAの対応として、ガレージ内で行われる荷重テストを増やすことが多かったが、マシンが静止しているときにはチェックできないような方法でウィングをたわませるために、チームが巧妙なトリックを使っている可能性があることがわかったため、アプローチを変更することになった。今後は、F1チームは、フロントウイングとノーズ、リアウイングとエンドプレート、リアインパクト構造、パイロンの固定状態を示す組立図と断面図を提出しなければならない。さらに各チームは、リヤウイング・パイロンのリヤインパクト構造への固定を示す同様の画像を提出しなければならない。これらのデザインによって、FIAはウイングコンポーネントがどのように設計されているのか、また、どのチームもパーツを曲げて空力的な優位性をもたらすような作り方をしているのかどうかをよりよく理解することができる。レギュレーションに完全に準拠するためにはチームによる作業が必要となる可能性があるため、FIAは新しいスタンスの採用を来月のシンガポールGPまで延期した。つまり、競技者たちは今週末のモンツァGP終了まで現在のデザインを続けることができるということになる。各チームは9月8日までにウイングデザインを示す必要な図面を提出するよう求められている。
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