F1エンジンメーカのメルセデスとフェラーリは、F1エンジンのコストについて交渉に応じる考えはあるものの、FIAが要請するほどのプライスダウンは不可能だと明言した。メルセデスは、ワークスチームに加えて3チームにパワーユニットを供給しており、フェラーリもハースがグリッドに加わる2016年からはカスタマーが3チームになる。
FIAのジャン・トッド会長は、F1の中小規模チームの負担を和らげるためにエンジンコストに上限を設けようとしており、実現のためにストラテジーグループは、FIAとFOMにレギュレーションの調整を検討する権限を委託している。現在のパワーユニット/ギアボックスの契約金は1,700万〜2,200万ドル(約20億6,000万円〜26億7,000万円)と推定されているが、FIAは2017年までにパワーユニットを1,200万ドル(約14億6,000万円)、トランスミッションを150万ドル(約1億8,000万円)まで引き下げたい考えていると Auto Motor und Sport は報じている。 しかし、フェラーリとメルセデスは、過去数年にわたって新しいV6ターボとERSテクノロジーに多額の投資をしてきており、カスタマーからの収入に基づいたビジネスプランを立てている。先週末、この問題について質問されたフェラーリのチーム代表マウリツィオ・アリバベーネは、カスタマーのためにパワーユニットの費用を援助する考えはないと述べた。「決まった価格で売らなければならないような製品が世界のどこかにあるなら教えてほしい」とマウリツィオ・アリバベーネは反発。「我々は、最善の価格でエンジンを提供できるように交渉には応じる。だが、誰かにプレゼントすることはできない」 メルセデスのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフも交渉にはオープンな考えだが、既存のビジネスモデルを簡単に破り捨てることはできないと語る。「トッド氏はカスタマーのためにエンジン価格を抑えたいと考えている。エンジン価格は予算全体の大きな部分を占めるからだ」とトト・ヴォルフはコメント。「非常に真剣に受け止めており、検討はしてみるが、我々はこのエンジンでビジネスケースを構築してしまっており、投資の回収ラインはぎりぎりだ」「重要性は理解しており、鉛筆をとがらせて検討した上で、それが可能かどうかの答えを持って戻ってくると約束したい」「しかし、大企業では、ビジネスケースを組み立て、投資の正当性を証明し、契約を結んでいるので、それに大きな影響を与える可能性がある」「環境が厳しくなったからといって調整や変更が必要となると、我々のような組織にとっては大きなチャレンジだ。ソリューションを見つけて計画を立て、変更が必要だという正当性を証明しなければならない。そこが大変な部分だ」