F1は今週末、カレンダー第7戦となるエミリア・ロマーニャGPの舞台・イモラへと向かう。恒例の「Need to Know」では、統計データ、ドライビングのポイント、戦略のヒントなど、レースに必要なあらゆる情報を網羅してお届けする。5月16日(金)にフリー走行1回目と2回目、17日(土)にフリー走行3回目と予選、そして18日(日)に決勝が開催される。
基本データ■ 初開催年:1980年(1980年はイタリアGP、1981年~2006年はサンマリノGP、2020年以降はエミリア・ロマーニャGPとして開催)■ サーキット全長:4.909km■ ラップレコード:1分15秒484(ルイス・ハミルトン/メルセデス/2020年)■ 最多ポールポジション獲得:アイルトン・セナ(8回)■ 最多勝利:ミハエル・シューマッハ(7勝)■ トリビア:サーキット会長を務めるのは、かつてフェルナンド・アロンソをF1にデビューさせたミナルディの元代表ジャン・カルロ・ミナルディ■ ポールからターン1ブレーキングポイントまでの距離:553m■ 2024年のオーバーテイク数:45回■ セーフティカー出動確率:75%■ バーチャルセーフティカー出動確率:25%■ ピットストップによるタイムロス:28.2秒ドライバーの見解元ルノーF1ドライバー、ジョリオン・パーマーのコメント:「イモラは本当に素晴らしいサーキットだ。歴史が詰まっていて、走っているだけでその重みを感じる。コース外は草やグラベルのランオフが短く、ミスの余地が少ない。そして難所も多い。序盤のシケインは比較的シンプルだが、ピラテラは出口が見えにくくトラックリミットに注意が必要。アクア・ミネラーレはターン12でスピードを出しすぎないようにしなければならないし、ヴァリアンテ・アルタの縁石も厳しい。乗りすぎてもダメ、避けすぎても遅くなる。縁石の隙間を縫うように走る必要がある。ターン17のブレーキングも簡単に罠にはまる。序盤は特に難しい。下り勾配で外にはグラベルがあるからだ。ミスすれば即座にコース外。ドライバーにもファンにも愛されるクラシックな挑戦だ」過去のポールポジション獲得者(エミリア・ロマーニャGP)■ 2024年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)■ 2022年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)■ 2021年:ルイス・ハミルトン(メルセデス)■ 2020年:バルテリ・ボッタス(メルセデス)過去の優勝者(エミリア・ロマーニャGP)■ 2024年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)■ 2022年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)■ 2021年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)■ 2020年:ルイス・ハミルトン(メルセデス)フェルスタッペンは2024年のエミリア・ロマーニャGPでポールトゥウィンを達成したタイヤと戦略の見通し2025年F1エミリア・ロマーニャGPでは、ピレリが最も柔らかいコンパウンド3種を投入する。C6がソフト、C5がミディアム、C4がハードとして指定され、C6は今回が初登場となる。ピレリは今回のプレビューで、「C6はタイヤへの負荷が小さいサーキット用に設計されたコンパウンドで、イモラの舗装は比較的摩耗が少ないため、シングルラップでのグリップ向上が期待できる」と説明している。その一方で、「決勝レースでのスティントには不向きと見られ、今回およびモナコ、カナダでのデータをもとに、シーズン後半に向けた評価材料とする」としている。コース特性についても言及があり、「加減速ポイントが多いことがタイヤマネジメントに影響し、平均的な荷重は低く、デグラデーションも限られている。ただし縁石が高いため、サスペンションやタイヤへの機械的ストレスは大きくなる」と分析している。オーバーテイクの難しさもあり、予選順位と戦略が極めて重要となる。昨年のレースでは、1ストップ戦略が主流となり、15台がミディアム(C4)、3台がハード(C3)、2台がソフト(C5)でスタートした。ソフトを選んだドライバーは2ストップを強いられた一方で、ハード系タイヤは50度を超える路面温度の中でも安定したパフォーマンスを発揮した。今年はそれよりも1段階柔らかいタイヤ構成となっており、レースへの影響が注目される。DRSゾーンは1か所のみで、追い抜きの機会は限られるうえ、ピットレーンのタイムロスは全カレンダー中で最長。このような要素が重なり、今年も1ストップ戦略が基本となる見込みだ。昨年のイモラでは1ストップ戦略が最も有効だった現在の勢力図前戦マイアミではマクラーレンが圧倒的な力を見せつけ、オスカー・ピアストリとランド・ノリスが1-2フィニッシュ。ピアストリは3位のジョージ・ラッセルに対し37.644秒の大差をつけた。これによりピアストリはドライバーズ選手権で計131ポイントを獲得し、2位のノリスに16ポイント差をつけて首位をキープ。3位のマックス・フェルスタッペンは99ポイントで追う。昨年のイモラでは、ノリスがフェルスタッペンに迫る走りでマクラーレンの躍進を示したが、今年は追う立場ではなく“追われる立場”としての対応が問われる。フェルスタッペンもイモラとは相性が良く、過去4回の開催で3勝。マイアミでのポール獲得が示すように、油断は禁物だ。メルセデスはサウジアラビアで苦戦したが、マイアミではラッセルが表彰台を獲得して持ち直し。そして今週末は、地元イタリアで初のF1レースを迎えるルーキー、キミ・アントネッリにも注目が集まる。フェラーリにとっては今季初の母国開催。ルイス・ハミルトンがスクーデリア・フェラーリの一員としてイタリアの地で初めてレースを迎えることでも話題だ。また、アルピーヌではフランコ・コラピントがジャック・ドゥーハンに代わって今後5戦に出場予定。このドライバー交代が中団グループの争いにどう影響を与えるかも見逃せない。名場面イモラは、栄光と悲劇が交錯するF1の歴史において特別な地位を占める。1994年には、アイルトン・セナとローランド・ラッツェンバーガーがそれぞれ命を落とすという悲劇的な週末を迎えた。だが一方で、喜びの瞬間も刻まれている。今週は、その中でも象徴的なシーンとして、2005年にフェルナンド・アロンソがミハエル・シューマッハと繰り広げた名勝負を振り返りたい。