2025年シーズンのF1には複数の新人ドライバーが参戦し、全10チームのうち8チームがドライバーラインナップを刷新した。シーズン開幕前、F1 TVリードコメンテーターでF2のエキスパートであるアレックス・ジャックは、新たにF1の頂点に加わったルーキーたちの展望を語っていた。そして今、夏休みに入ったこのタイミングで、シーズン前半を終えた各ルーキーの評価と課題を分析した。
アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)■ ベストフィニッシュ:3位■ 獲得ポイント:64■ これまでのハイライト:マイアミでスプリントポールを獲得し、18歳251日でF1史上最年少ポールシッターとなった。■ どこが印象的か?北米の未経験サーキットでもすぐに適応し、マイアミではスプリントとグランプリの両方でチームメイトのジョージ・ラッセルを上回る予選結果を残した。モントリオールでは初めて終始トップ集団を走り、F1史上3番目に若い表彰台フィニッシュを達成した。■ 後半戦での課題:本来の速さを再び引き出すこと。14戦の中で自信を削がれる場面が多く、本来の限界に達していないと内情を知る者は指摘する。ブダペストでは結果は伴わなかったが自信回復の兆しがあり、それを基盤に限界を再発見する必要がある。■ 総評:才能の片鱗は随所に見えるが、本当の評価はシーズン終了まで待つべきだ。オリバー・ベアマン(ハース)■ ベストフィニッシュ:8位■ 獲得ポイント:8■ これまでのハイライト:上海での鮮やかなオーバーテイクの数々。さらに初めての鈴鹿でQ3進出を果たし、エステバン・オコンを予選で8つ上回った。■ どこが印象的か?一発の速さは抜群で、予選成績は元GPウィナー相手に7勝7敗の互角。決勝でもポイント以上のペースを見せている。■ 後半戦での課題:週末を台無しにする初歩的なミスを減らすこと。シルバーストンでは赤旗ペナルティで有望なスタートポジションを失い、中団勢のサプライズ表彰台の可能性も逃した。■ 総評:速さは十分だが、夏休み明けの早い段階でのポイント獲得が双方に安心感を与えるだろう。ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)■ ベストフィニッシュ:6位■ 獲得ポイント:14■ これまでのハイライト:直近のGP。キャリア初のQ3進出を果たし、予選自己最高位。決勝でも安定した走りで6位入賞。■ どこが印象的か?予選での強さ。予選巧者として知られるニコ・ヒュルケンベルグに8勝6敗とリード。経験豊富なチームメイトとの連携力も高評価。オーストリアとハンガリーではチャンスを逃さず得点。■ 後半戦での課題:ハンガリーのようなQ3での改善を再現すること。それがコンストラクターズ争いに大きく寄与する。■ 総評:現F2王者がF1で才能を発揮できる体制が整った。ジャック・ドゥーハン/フランコ・コラピント(アルピーヌ)■ ベストフィニッシュ:ドゥーハン13位/コラピント13位■ 獲得ポイント:0■ これまでのハイライト:2人とも時折ピエール・ガスリーを予選で上回った。■ どこが印象的か?アルピーヌは今年、セカンドシートの安定運用に苦戦。ドゥーハンは開幕から交代の噂にさらされ、メルボルンと鈴鹿で大クラッシュ。マイアミで初めてガスリーを予選で上回った直後に放出。コラピントはプレシーズンテストなしで参戦し、新任レースエンジニアとの連携にも苦労。■ 後半戦での課題(コラピント):昨季経験したサーキットに戻る残りの戦いで予選力を改善し、ポイントを目指すこと。■ 総評:不自然なシート運用により、2人の有望株が不利な状況を強いられた。アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)■ ベストフィニッシュ:6位■ 獲得ポイント:22■ これまでのハイライト:モナコでのスピード、技術、戦術眼を兼ね備えた6位入賞。■ どこが印象的か?開幕戦メルボルンでのフォーメーションラップスピン後、5戦中5度のポイント獲得を達成。金曜プラクティスでの好走も目立ち、セットアップ習熟後の伸びしろが大きい。■ 後半戦での課題:過去にチームを苦しめたシーズン後半の失速を避けること。■ 総評:もし「前半戦ルーキー賞」があれば間違いなく彼が受賞だろう。リアム・ローソン(レーシングブルズ)■ ベストフィニッシュ:6位■ 獲得ポイント:20■ これまでのハイライト:オーストリアでのキャリア最高位6位。序盤の逆境を乗り越え、安定感ある走りを披露。■ どこが印象的か?レッドブルからの降格後の精神的立て直し。オーストリア以降は常にポイント圏争いに加わっている。■ 後半戦での課題:予選成績の改善。ハジャーに9勝3敗と大きくリードされており、このままでは不利。予選力向上がチーム内バトルをさらに熱くするだろう。■ 総評:夏休み前には予選・決勝ともに改善傾向。後半戦はさらなる接戦が期待される。
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