F1マイアミGPでフェラーリ内におけるポジションの入れ替えが議論を呼んだが、シャルル・ルクレールはレース後、チームメイトのルイス・ハミルトンに対して「何の悪感情もない」と語り、あくまで問題はチームの対応にあると強調した。レース中、ハミルトンはミディアムタイヤを履いていたにもかかわらず、ハードタイヤを使用していたルクレールの後ろにとどまる状況に不満を表し、チームに対して前に出してほしいと無線で訴えた。
結果的にチームはハミルトンを先行させたものの、前方のアントネッリに迫ることができず、再びルクレールが前に出る展開となった。ルクレールはレース後、この件についてハミルトンに対する個人的な不満はないと強調した。「ルイスがミディアムだったのは知っていたし、終盤までもたせるのが彼には難しいのもわかっていた。でも、彼が違うアプローチを試したいと思った気持ちも理解できるし、自分が逆の立場でも同じことをしただろう」と語った。さらにルクレールは、「問題はチームとしてこのような状況にどう対応するかだ。今日は最善を尽くしたとは言えず、もっと良くできたはずだ」とチーム側の戦略的判断を課題として挙げた。順位交代に関しても、事前にもう少し議論があってしかるべきだったとした。「タイヤを持たせる必要がある状況で、いきなり順位を入れ替えることになると全体が難しくなる。カルロス(サインツ)が予想よりも近くにいたことも影響した」と説明。また、ルクレール自身もレース中に「ハミルトンの後ろの乱気流でタイヤが厳しい」と無線で伝えていた場面があり、戦略ミスと順位争いの両面でフラストレーションが溜まっていた様子がうかがえた。「そもそもP8争いをしているという時点で歯がゆかったし、そこにいろんな要素が重なって感情的にもなった。ただ、無線の発言が全てを表しているわけではない」と冷静に振り返った。フェラーリとしては今回のような難しい判断を迫られる状況において、より明確で柔軟な対応が求められる。ルクレールは「奇跡が起きたわけでもなく、完璧に運んでいたらアントネッリの前で終えられたかもしれない。それが現実だ」と述べ、レース全体としてのパフォーマンス不足を率直に認めている。今回のレースでは、戦略ミスやチーム内での調整不足がポイント争いに大きく影響したことが改めて浮き彫りとなった。フェラーリにとっては、今後のレースに向けて体制の見直しが急務だ。