カルン・チャンドック(元F1ドライバー/モータースポーツUK理事)は2月26日、ブッダ・インターナショナル・サーキットでセバスチャン・ベッテルが2012年にインドGPを制したレッドブルRB8をドライブした。母国インドで開催された2012年インドGPの勝利マシンを、自身の“ホームコース”で再び走らせる機会を得たことについて、チャンドックは特別な思いを明かした。
「ピットに出ていった瞬間、14億人の国の中で自分がどれだけ幸運かと思った。ここは僕のホームサーキットだし、ここで勝ったマシンを運転できるなんて特別な瞬間だ。本当に幸運だと思った」と語った。「F1でも屈指の素晴らしいマシンの一台で、この素晴らしいサーキットを走れた。心から楽しめたし、本当に特別な一日だった」インドGP復活へ「フェスティバル化」が鍵現在、インドGP復活の可能性が報じられている。スポーツ省関係者によれば、グレーター・ノイダでのF1開催再開が検討段階にあるという。これについてチャンドックは歓迎の姿勢を示した。「インドGPが戻ってきたら素晴らしい。メディア報道しか見ていないが、これは第一歩だ」そのうえで、実現には複数のハードルがあると冷静に指摘する。「資金調達、政府のレギュレーション、カレンダー枠の確保、そしてインフラ整備。いくつもの段階がある。まずはやろうという意思が重要だ」さらに、単なるレース週末ではなく“イベント化”が不可欠だと強調した。「どうすれば観客を引き寄せられるかを考えなければならない。大きなフェスティバルにする必要がある。空席のスタンドでレースをするわけにはいかない。シルバーストンでは木曜日の時点で6万人がコンサートを観に来る。そうした体験型イベントにすることが大切だ」官民連携と“物流問題”の解消インドGPが2011年から2013年まで開催された当時、運営面では課題もあった。「正直に言えば、民間と政府の足並みを揃えることが最大のポイントだ。過去には問題があった」「貨物が到着しても通関で止まったり、スペアパーツがクリアされなかったりした。F1はサーカスだ。7機のジェット機が到着し、イベントを開催して去っていく。官僚に電話をかける余裕などない」ビザ発給の簡素化も重要だと指摘する。「到着ビザの免除やeビザの整備が必要だ。ロシアGPでは英国GP会場に大使館が出張してビザを発行していた。アクセスの容易さは不可欠だ」4つの条件「資金・規制・インフラ・カレンダー」チャンドックは、F1側は対話に前向きだと明かす一方で、具体化には4つのブロックが必要だと説明する。「F1はインド復帰にオープンだ。しかしそれは第一段階にすぎない。資金、レギュレーション、政府支援、サーキットのアップグレード、そしてカレンダー枠。この4つが明確にならなければ答えは出せない」現在サーキットを保有する側が、コスト構造を理解している点には前向きな評価を示した。「多くの人がF1開催を望むが、財務モデルを理解していない。しかし彼らは理解している。過去のデータも持っている」“才能だけでは足りない” インド人F1ドライバーの壁インド出身でF1に参戦したのは、ナレイン・カーティケヤンとカルン・チャンドックの2人のみ。2012年以降、インド人ドライバーはF1に参戦していない。その理由についてチャンドックは率直に語った。「14億人いてF1ドライバーが2人しかいない理由は明確だ。最大の理由は資金だ」「この国では一つのスポーツが圧倒的に支配的で、スポンサー資金をほとんど吸い上げてしまう」実際のエピソードも明かす。「ある通信会社に『なぜ君に500万ルピーを出す必要がある? その金額でクリケット選手のバットを買える』と言われた。答えるのは難しい」「才能だけでは足りない。タイミング、資金、機会、制度的サポートが重なり合わなければならない」レッドブル・モトジャム開催3月1日にはインド・エキスポ・センターでレッドブル・モトジャムが開催される。2012年型RB8はイベントの目玉として再登場予定で、アービッド・リンドブラッドがステアリングを握る。ドリフトやフリースタイルモトクロスのトップアスリートも参加し、BMW M3 E92、トライアンフ・ストリートトリプル、ランドクルーザー100、カワサキKX450、KTM450SXなども披露される予定だ。RB8が再びインドのファンの前に姿を現す。その象徴的な一日が、インドGP復活への“第一歩”となるかが注目される。
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