女性ドライバー、アリス・パウエルの祖父は、お金を支払えば孫娘がアブダビGPで走れるかもしれないと語った。先月末、破産申請したケータハムは、2戦を欠場。管財人はクラウドファンディング・プロジェクトを立ち上げ、最終戦アブダビGPに参戦できるよう235万ポンド(約4億2800万円)の寄付を募っている。
アリス・パウエルの祖父ジム・フレーザーは、これをアリスのF1デビューのチャンスと考えた。ジム・フレーザーは、管財人であるスミス&ウィリアムソンに手紙を書き、グランプリ週末の金曜1回目のフリー走行のシートにアリスを座らせてくれたら35,000ポンド(約637万5548円)を支払うと提案した。ジム・フレーザーは「管財人が前向きな返答をしてくれることを本当に願っている」とコメント。「これは、F1全体を高め、女性がF1マシンで何ができるかを世間に知らせることになるだろう」「多くの女性は、男性ばかりが出場するレースを夫とともに観戦したがらないかもしれない。ダニカ・パトリックがアメリカでレースをしたときのように、これは女性の注目を集めるかもしれない。アメリカでは、視聴者数が一晩で15%増加した」「アリスは世界最高の女性ドライバーであり、優秀なF1チームに入れば中団で走れると信じている。しかし、当面は、フリー走行1回目で走行することを目指している」スミス&ウィリアムソンのアソシエート・ディレクターを務めるマーク・フォードは“オファーを受け取り、アリスの支援者と話した”ことを認めた。マーク・フォードは、アリス・パウエルの祖父とマネージャーから、彼女がF1に必要なFIAスーパーライセンスの基準を満たすかどうかの保証を確認されたようだ。21歳のアリス・パウエルは、フォーミュラ・ルノーUKで史上最年少のドライバーとなり、2010年にはフォーミュラ・ルノーシリーズで女性として初優勝。GP3やルノー3.5に参戦している。ジム・フレーザーは、自分は金持ちではなく、このオファーが資金豊富なライバルによってつぶされることを心配していると述べた。マルシャが撤退したため、マックス・チルトンもシートを探しているが、彼は大富豪の父親グレアム・チルトンが率いる多くの投資家によって支援されている。ジム・フレーザーは「管財人がレース、予選、残る2回のフリー走行に誰かを選んだとしても、1回目のセッションにアリスを起用しない理由はない。アリスはアブダビまでにシミュレーターを使う必要があるので、管財人はすぐに決断することが重要だ」と述べた。イギリスのデーヴィッド・キャメロン首相も、アリス・パウエルのF1の夢を応援している。アリス・パウエルは、2年前デーヴィッド・キャメロン首相の貿易使節団に加わっている。デーヴィッド・キャメロン首相は「私は、F1に参戦するというアリスの希望を全面的に支援している」と述べた。「F1には40年近く女性が参戦していないので、アリスと英国だけでなく、F1にとっても素晴らしいことだろう」しかし、1992年のF1ブラジルGPでジョヴァンナ・アマティが予選不通過になって以来、F1に出場した女性は、今シーズン2回のフリー走行に参加したウィリアムズのスージー・ヴォルフだけとなっている。さらにレースに出走した女性となれば、1950年代のマリア・テレーザ・デ・フィリッピスと1970年代のレラ・ロンバルディの二人だけとなっている。昨年、アリス・パウエルは「女性がF1に参戦するのを止めるものは何もないと思いますが、単に女性だから参戦できるというのは駄目だと思います」と述べている。