ジョージ・ラッセルが2025年シーズンのF1で4人目のウィナーとなり、カナダGPで圧巻の走りを披露した。ポール・トゥ・ウィンを達成したメルセデスとラッセルは歓喜に沸いたが、その裏では数々のライバルが「勝てたかもしれない」週末を逃し、悔しさを滲ませていた。F1公式サイトのローレンス・バレットが、ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでのドラマに満ちた週末から「勝者」と「敗者」を選出する。ラッセルの完勝劇の裏で、誰が躍動し、誰がつまずいたのか。
勝者:ジョージ・ラッセルジョージ・ラッセルはモントリオールで素晴らしいパフォーマンスを見せた。金曜の好調な走りを裏付けるように、自身のキャリアで「ベストラップ」と感じた圧巻のアタックで2年連続のポールポジションを獲得した。そして日曜の決勝では、マックス・フェルスタッペンからのプレッシャーを終始受けながらも、冷静に対応してみせるマスタクラスの走りで自身4勝目、そしてメルセデスにとってカナダで通算5勝目をもたらした。今季のラッセルは、すでに2024年シーズン全体を上回る5度の表彰台を記録しており、ドライバーズランキング3位争いでは4度の世界王者フェルスタッペンに19ポイント差まで迫っている。ラッセルが今季初勝利を挙げ、アントネッリはキャリア初の表彰台を獲得敗者:ランド・ノリスカナダで最速だったのはランド・ノリスだったと言っても過言ではないが、その圧倒的な速さを活かすにはミスが多すぎた。予選7位からの巻き返しを強いられたが、レースでは着実に順位を上げ、マクラーレンのチームメイトでチャンピオンシップリーダーのオスカー・ピアストリにプレッシャーをかけるまでに浮上。しかし1コーナーへの進入で判断ミスを犯し、ピアストリに追突して自らのリタイアを招いた。この結果、10ポイントを失い、タイトル争いではピアストリに22ポイント差をつけられることとなった。ノリスはDNFでチームメイトとの差がさらに広がった勝者:キミ・アントネッリルーキーのキミ・アントネッリは、ヨーロッパでの3連戦でノーポイントに終わった失意から見事に立ち直り、18歳294日で史上3番目に若い表彰台フィニッシャーとなった。メルセデスのドライバーであるアントネッリは、火曜日に控える学業の試験のためイタリアに帰国予定だが、イタリア人ドライバーとしては2009年の日本GPでのヤルノ・トゥルーリ以来の表彰台となった。彼の3位入賞は、ラッセルの勝利と合わせて、メルセデスをコンストラクターズ選手権で2位に押し戻す大きな原動力となった。敗者:アレックス・アルボンアレックス・アルボンは、予選で6位または7位も狙えたと感じていたが、9番手スタートからポイント獲得を目指していた。しかし、スタート直後にフランコ・コラピントとのホイール・トゥ・ホイールで芝生に逃れる展開となり、1ストップ戦略を試みたがタイヤのグレイニングに悩まされた。その結果、ポイント圏外に沈み、さらに追い打ちをかけるようにパワーユニットのトラブルでリタイアとなった。アルボンはスペインに続き2戦連続のPUトラブルによるリタイア勝者:フェルナンド・アロンソフェルナンド・アロンソはモントリオールでその卓越したスキルを発揮。イモラで導入されたアップグレード以来、アストンマーティンでのフィーリングが改善しており、直近4戦で3度目となるトップ6スタートを達成。決勝では、マシンのレースペースが劣ると認めつつも、持てるすべてを引き出して7位フィニッシュを果たした。開幕から8戦連続ノーポイントだったが、これで2戦連続のポイント獲得となった。敗者:フェラーリフェラーリにとっては、オン・トラックでもオフ・トラックでも厳しい週末となった。まず、金曜の走行でシャルル・ルクレールがクラッシュし、ほとんどの走行時間を失う結果に。スタートから速さを見せていただけに痛い損失だった。加えて、チーム代表フレデリック・バスールは自身の将来を巡る噂について「チームに大きな悪影響を及ぼしている」と語った。アロンソはスペインに続きポイントを獲得予選8位となったルクレールは「ポールも狙えた」と語っていたが、決勝では5位にとどまり、チームメイトのルイス・ハミルトンも小動物との接触による損傷で6位止まり。コンストラクターズ選手権では3位に後退し、メルセデスには16ポイント差をつけられ、レッドブルとの差もわずか21ポイントに縮まった。勝者:ニコ・ヒュルケンベルグスペインGPでの驚異的な5位に続き、ニコ・ヒュルケンベルグはカナダでも印象的な週末を送った。キック・ザウバーのドライバーとして、今季2戦目の中国GP以来となる12番手スタートを決め、レースでは力強くポイント圏へ浮上して8位でフィニッシュ。これで今季3度目のトップ8入りを果たした。ヒュルケンベルグは好スタートを決めて再びポイントを獲得キック・ザウバーのドライバーが2戦連続でポイントを獲得したのは、2022年のバルテリ・ボッタス以来となる快挙。チームはコンストラクターズ6位まであと8ポイントに迫った。敗者:リアム・ローソンリアム・ローソンにとっては、4月の中国GP以来最悪の予選結果となった。19番手となった彼は、パワーユニットの交換によってピットレーンスタートを強いられた。しかし、決勝では冷却系トラブルによりレース途中でリタイア。これで今季10戦中3度目のリタイアとなった。ローソンはモントリオールで完走できなかった勝者:エステバン・オコンエステバン・オコンは、ハードタイヤで第1スティントを粘り強く走り切り、70周のうち58周目までステイアウト。14番手スタートから9位まで順位を上げる走りを見せた。この9位は今季4度目のポイント獲得であり、直近3戦で2回目のトップ10入りとなった。また、カナダGP200回目の出場となったハースにとっても、史上最高順位でのフィニッシュだった。敗者:アルピーヌアルピーヌは、今季10戦中8戦でノーポイントという苦しい状況が続いており、チームとしてコンストラクターズ最下位にとどまっている。ピエール・ガスリーはピットレーンスタートから挽回できず、フランコ・コラピントも10番手スタートの好位置をポイントに結びつけることができなかった。
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