2026年F1第9戦イギリスGPは、タイヤメーカーのピレリが1ストップ戦略を最速と予測している。スプリントでタイヤの摩耗が非常に少なかったことから、決勝でもタイヤ交換は1回が基本となる見通しだ。一方で、シルバーストン特有の強風やセーフティカーのタイミングによっては、異なる戦略が勝敗を左右する可能性もある。各チームはタイヤだけでなく、レース展開を見据えた柔軟な判断が求められる。
1ストップが最速戦略 ミディアム→ハードが本命ピレリのシミュレーションでは、最速となるのはミディアム(C2)でスタートし、ハード(C1)へ交換する1ストップ戦略だ。スプリントではミディアムタイヤのグレイニングがほとんど発生せず、優勝したアンドレア・キミ・アントネッリは最終ラップにファステストラップを記録するほどタイヤ性能が維持されていた。ピレリのモータースポーツディレクター、ダリオ・マラフスキは「タイヤを確認したところ、ミディアムにはグレイニングが見られなかった。非常に安定しており、アントネッリは最終ラップでレース最速タイムを記録した。デグラデーションはほぼゼロだった」と説明した。推奨されるピットウインドウは24~30周目となっており、2ストップ戦略はシミュレーション上で約13秒遅くなると見積もられている。ミディアム→ソフトにも終盤勝負の可能性もうひとつの有力候補が、ミディアムからソフト(C3)へつなぐ1ストップ戦略だ。この場合のピットウインドウは29~35周目で、シミュレーションではミディアム→ハードより約6秒遅いとされる。ただし終盤は新品ソフトによる大きなタイヤアドバンテージを得られるため、レース終盤のオーバーテイク勝負では有利に働く可能性がある。一方でソフトタイヤで20周以上走行する必要があり、マラフスキも「限界に近い」と評価しており、タイヤマネジメントが重要になる。中団勢はハードスタートも有力な選択肢ポイント争いを狙う中団勢には、ハードでスタートしてミディアムへ交換する逆転戦略も現実的な選択肢となる。シルバーストンは高速コーナーが多く、接近走行が難しい一方で、オーストリアのような強力なブレーキングポイントも少ない。そのため前半を長く走って順位を上げる「オーバーカット」を狙う価値がある。この戦略では28~34周目が最適なピットタイミングとされるが、過去のシルバーストンではセーフティカー導入がピットストップのきっかけになるケースも多く、状況対応が重要となる。さらにソフト→ハードという戦略も理論上は存在し、16~22周目で交換するシミュレーションとなっている。ただし序盤の混雑やエネルギーマネジメントの影響を考慮すると、採用される可能性は低いとみられている。勝敗を左右するのはシルバーストン特有の強風決勝日の気温は約25℃、路面温度は約42℃と予想され、降雨の可能性はほぼない。一方で最大の不確定要素となるのが西から吹く20~40km/hの強いガスト(突風)だ。アビーやコプスでは追い風、ストウでは向かい風となるが、風向きが周回ごとに変化するため、ドライバーは毎周異なるマシンバランスに対応しなければならない。この強風はコースアウトやトラックリミット違反を誘発しやすく、リアタイヤのスライドも増えるため、1ストップ戦略でタイヤを守る難易度を高める要因になるとみられている。シルバーストンでは1ストップ戦略が基本となる可能性が高いが、強風やセーフティカー、そして終盤のタイヤ選択がレースの流れを大きく変える可能性もある。タイヤ性能だけでなく、刻々と変化するコンディションへの対応力が優勝争いを左右しそうだ。
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