マクラーレンのランド・ノリスが母国イギリスGPで念願の初優勝を飾り、キック・ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグは通算239戦目にして初のF1表彰台を獲得した。7月6日、2025年F1イギリスGP決勝は、ウェットとドライが交錯する難しいコンディションのなかで波乱に満ちた展開となり、名門シルバーストンはまたしても記憶に残る一戦となった。
ノリス、ペナルティを受けたピアストリを抑えて母国初勝利レースウィークの初め、ランド・ノリスは「今あるすべてのトロフィーと引き換えにしても、母国優勝が欲しい」と冗談めかして語っていたが、その言葉が現実のものとなった。予選ではレッドブルのマックス・フェルスタッペンとチームメイトのオスカー・ピアストリに先行を許し3番手に甘んじたものの、決勝では雨と晴れが目まぐるしく入れ替わる展開のなかで粘り強く走り切った。中盤のセーフティカー明け、フェルスタッペンはスピンを喫し後退。さらにピアストリが再スタート時の違反により10秒加算ペナルティを受けたことで、マクラーレン勢の順位は入れ替わった。ノリスはファミリーの前でマシンを止め、喜びをかみしめながらパルクフェルメへ。「最後の数周はずっと観客を見ていた。すべてを受け止めて、今この瞬間を楽しもうとしていた。二度と来ないかもしれないからね。素晴らしい達成感だ」と語った。この勝利により、ノリスはドライバーズ選手権でピアストリとの差を15ポイントから8ポイントに縮めている。ヒュルケンベルグ、239戦目での快挙ニコ・ヒュルケンベルグはF1デビューから15年、通算239戦目の出走となったこの日、ついに念願の表彰台に上った。予選19番手からのスタートだったが、混乱のなかで冷静な判断と堅実なドライビングで3位フィニッシュを果たした。勝負を決めたのはレース中盤以降、フェラーリのルイス・ハミルトンからの猛追を抑え切ったことだ。キック・ザウバーのマシンは変化するコンディションの中でフェラーリに匹敵する戦闘力を発揮し、ベテランの意地を見せつけた。「もちろん、ルイスがホームで全力を出してくるのは分かっていた。けど今日は僕の日だと言い聞かせて、リスクを取ったよ」とヒュルケンベルグは笑顔で語り、シャンパンを手に祝福ムードに包まれた。混乱のレース、5台がリタイア予想どおり、イギリスGPは天候に翻弄される展開となり、スピン、クラッシュ、ペナルティが続出した。フェルスタッペンはセーフティカー明けにスピンを喫し、最終的には5位でフィニッシュ。序盤にはリアム・ローソンが1周目にエステバン・オコンと接触しリタイア。オコンはその後チームメイトと接触して自らもスピンを喫した。さらに、オリバー・ベアマンが角田裕毅に接触されてスピンし、角田は10秒ペナルティを科された。アイザック・ハジャーはキミ・アントネッリに追突してリタイア。アントネッリも巻き添えでリタイアを余儀なくされた。ガブリエル・ボルトレトは単独スピンでリアウイングを破損して戦線離脱。アルピーヌのフランコ・コラピントは、スタート前にピットボックス内でストールし、レース開始すらできなかった。イギリスGP決勝前のグリッドに登場したハンナ・ワディンガムセレブも集結、ハリウッドスターが続々と登場毎年注目を集めるイギリスGPの観客席には、今年も多くのセレブリティが姿を見せた。俳優のトム・ホランドやハンナ・ワディンガム、キアヌ・リーブスは常連組。リーブスはキャデラックのF1参入を追うドキュメンタリーに出演予定で、今回も現地入りした。映画『ラッシュ』で知られるオリヴィア・ワイルド、ファスト&フューリアスでおなじみのヴィン・ディーゼルも観戦。ジェレミー・クラークソンとカレブ・クーパーの『クラークソンズ・ファーム』コンビ、スケート界のレジェンドであるトニー・ホークも来場した。また、ジョゼ・モウリーニョ監督は予選日のポールポジションプレゼンターとして登場。俳優ダムソン・イドリスはチェッカーフラッグを担当し、『F1/エフワン』で演じた役柄を彷彿とさせるシーンで観客を盛り上げた。
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