2025年F1イギリスGP決勝後の公式記者会見には、母国グランプリで初優勝を飾ったランド・ノリス(マクラーレン)、2位のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、そしてF1キャリア15年目でついに初表彰台を達成したニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)が登壇。天候の変化とペナルティによって明暗が分かれた激闘を、それぞれが異なる視点から振り返った。
トラックインタビュー(インタビュアー:ジェンソン・バトン)Q:ニコ・ヒュルケンベルグ、ついに表彰台に上がることになりました。この気持ちはいかがですか?ニコ・ヒュルケンベルグ:いやあ、最高だ!長かったね。でも、僕らにはその力があるって、どこかでずっと信じてた。ほぼ最後尾からのスタートで、先週に続いてまたやり直すことになったレースだったけど、本当に非現実的な気分だ。どうやってここまで来たのかよく分からないけど、とにかくクレイジーなコンディションだったし、生き残りをかけた戦いだったと思う。正しい判断、正しいタイヤ、タイミングも完璧で、ミスもなかった。本当に信じられないレースだった。Q:200戦以上戦ってきたわけですが、その間にはあと一歩ということもたくさんあったと思います。今日はそのすべてを報われた瞬間ですよね。今の心境をもう少し教えてください。ヒュルケンベルグ:今日はね、最後のピットストップまでずっと「本当にこれ現実なのか?」って思ってた。でも、そのピットのあとでルイスとの差が広がったと聞いて、「これはいける、少し余裕ができた」と思ったよ。でも、彼はかなり速く追いついてきたから、プレッシャーはずっとあった。激しいレースだったけど、僕らは崩れなかったし、ミスもしなかった。それがすごく嬉しいんだ。Q:そして追いかけてきた相手は7度のワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトン。イギリスGPでこれ以上ないようなプレッシャーだったのでは?ヒュルケンベルグ:まさにそれを考えてたよ。ルイスは地元ファンの前で全力を出してくるって分かってた。でも僕も「今日こそは自分の日だ」って、腹をくくって挑んだ。本当に嬉しい。毎年こうやって応援してくれる皆さんに感謝したい。Q:おめでとうございます。ヒュルケンベルグ:ありがとう。Q:オスカー、感情が高ぶっていると思います。普段は冷静なあなたでも、今日の件ではかなり悔しさを見せていましたね。オスカー・ピアストリ:あまり多くは言わない方がいいかな。何か言うと問題になりそうだから。ニコ、おめでとう。今日一番のハイライトだったと思う。だから、これ以上は言わない。Q:レース序盤ではマックスに対して素晴らしいオーバーテイクを決めて、ペースも良かったですね。ただ、問題の場面、セーフティカーの後ろでの件について触れないわけにはいきません。ピアストリ:セーフティカーの後ろでブレーキをかけたらペナルティを受けた。でもその前の5周でも同じことをやってたし、特に変わったことはしてないんだよね。これ以上言うと危ないから控えるけど、天気が悪い中でも最後まで応援してくれた観客の皆さんに感謝したい。今日はあまり好きになれなかったけど、それでもシルバーストンは好きなんだ。みんな本当にありがとう。Q:ランド、やりましたね!母国グランプリで優勝しました。ランド・ノリス:うわあ、信じられない。本当に夢見てたことだし、ずっと達成したかったことが叶った。チャンピオンになること以外で、これ以上の感動はないと思う。達成感、誇り、そのすべてが詰まっているレースだった。F1を観始めたのがここで、昔はテレビで君(ジェンソン)を見てた。その自分が今、こうして勝てた。本当に信じられないよ。ファンの声援がなかったら成し遂げられなかったと思う。本当に感謝してる。Q:最後の数周、頭の中では何を考えていましたか?ノリス:頭が真っ白になる。レース前に考えていたことなんて全部吹っ飛ぶ。ただひとつのルールは「失敗しないこと」。それが最優先。最後の数周はただ観客を見て、すべてを感じようとしてた。次はもうないかもしれないからね。だからこの瞬間を大切にしたい。この思い出は一生忘れない。Q:今日は本当に大変なコンディションでしたね。簡単な勝利ではなかったはずです。ノリス:これ以上ストレスのかかるレースはないと思う。でもオスカーも本当に良いレースをした。だから称賛を送りたい。彼が後ろにいるときの方が好きだけどね(笑)。とはいえ、マクラーレンとして母国で勝つことができて最高だった。友人や家族、スタッフ、みんなに感謝してる。Q:最後に、ここに集まってくれたファンの皆さんにメッセージを。ノリス:レース前は「今日は何か見せたい」と思ってた。でも52周は長いし、天気も変わりやすいから、どうなるかは分からない。それでも、今この瞬間を味わえてることが信じられない。すべてのファン、イギリスの皆さん、マクラーレンファンに感謝したい。そして僕のグランドスタンドの皆にも。毎周声援をくれて、本当に素晴らしかった。記者会見Q:ランド、母国レース優勝おめでとうございます。この瞬間があなたにとってどれほど特別な意味を持つか、教えてください。ランド・ノリス:どこから話せばいいのか分からないくらい、波乱万丈なレースだった。本当に特別な意味がある。ホームレースでトップに立つっていうのは、ものすごく特別なことだって思う。さっき他のインタビューでも言ったけど、僕がF1を観始めたのはここだった。テレビで観てたんだ。ルイス、ジェンソン、フェルナンド――確か2007年か2008年の、大雨のレースだったと思う。あれが僕のF1の原体験で、ルイスが勝って、観客が総立ちで祝福してる姿を見て、「いつかあれを自分で体験したい」って思った。それが今日、実現したんだ。自分の目でその光景を見ることができた。本当にすごいことだったし、信じられない気持ち。家族も友人も、兄弟も両親も祖父母も、来れる人は全員来てくれた。だから、本当に特別だった。Q:モナコ、そして今回のシルバーストンと、大きなレースを制してきました。いま、自分が「波に乗っている」と感じていますか?ノリス:うーん、どうだろう。「勢いがある」とかってよく言われるけど、僕自身はそういうふうにはあまり考えない。結局のところ、一戦一戦だからね。確かに先週もいいレースだったし、いいバトルができて、今週もまた良いレースになった。でも、だからといって「今絶好調です」って感じではないかな。それに、オスカーも今日は素晴らしい走りをし...
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