ルイス・ハミルトンとランド・ノリスが2025年F1イギリスGPの初日、地元ファンの前でそれぞれフリー走行1回目(FP1)と2回目(FP2)でトップタイムを記録し、シルバーストンに熱気をもたらした。しかし、予選や決勝での本命が誰なのかは依然として不透明だ。フェラーリが高速コーナーの多いこのサーキットで競争力を見せ、マクラーレンを脅かす存在になりつつある一方で、レッドブルとメルセデスも決して侮れない。週末にかけて予報されている天候の変化も、勢力図を大きく揺るがす可能性がある。
マクラーレンがわずかにリードノリスは、ソフトタイヤを使用した予選シミュレーションで「とても強力なラップ」を記録し、タイムシートのトップに立ったあと、メディアに対して上機嫌でコメントを残した。オーストリアGPで優勝したばかりのノリスは、「フェラーリは今日非常に速かったし、明日もそうだろう」と認め、チームメイトのオスカー・ピアストリも「予選シミュレーションでもロングランでも、フェラーリの速さは少し驚きだった」と語った。しかしF1.comのデータによれば、フェラーリは予選シミュレーションでは3番手、レースシミュレーションでは4番手となっており、パドックの情報筋によれば、ライバルチームの多くもマクラーレンの最大の脅威はフェラーリだと見なしている――少なくとも気温が高い状況では。マクラーレンは低速コーナーでリードしており、ストレートではレッドブル以外の全チームより明らかに速い。そして両ドライバーはまだタイムを見つけられる余地があると感じており、ノリスは「もう少しスムーズに流れてくれたらよかったんだけど」と述べている。つまり、マクラーレンが現時点での本命ということだが、フェラーリがその背後に迫っており、週末の不安定な天候予報が状況を大きく変える可能性もある。フェラーリは本気で勝利を狙える位置に2025年シーズン、フェラーリは表彰台争いには加われるものの、勝利を争うには至らないという難しい展開が続いていた。しかし、前戦オーストリアGPで投入されたフロアの大規模なアップグレードによって、シルバーストンの高速コーナーでは一歩前進したように見える。ハミルトンとチームメイトのシャルル・ルクレールは、FP1から好調な走りを見せ、FP2でノリスにトップの座を譲ったものの、フェラーリは依然として接近していた。7度のワールドチャンピオンであるハミルトンは、TVペンで話した際、今季最も饒舌かつ陽気な様子を見せ「今日は本当にいい一日だった」とコメントした。マクラーレンとレッドブルが今回アップグレードを投入しているにもかかわらず、フェラーリがその中に食い込んでいる状況は、今週末の可能性をより一層期待させるものとなった。ただし、課題も残る。F1.comのデータでは、フェラーリはレースペースこそ良好だが、タイヤマネジメントに改善の余地があると示している。初期ラップで激しくプッシュし、その後のスティントで全体よりも高いデグラデーションを示していた。それでも、今季のフェラーリとしてはこれが最良の状態であり、もしかすると、昨年シルバーストンでメルセデスとして驚きの勝利を挙げたハミルトンが、今度はフェラーリで自身10回目の母国優勝を飾るという奇跡を起こせるかもしれない。レッドブルは上位争いに食い込めず現王者のマックス・フェルスタッペンは、金曜の走行後に「かなりひどい一日だった」「ただただバランスがなかった」と述べ、失望をあらわにした。全ドライバーが悩まされた強風――シルバーストンとしても特に厳しい風――の中で、フェルスタッペンも「このクルマはかなり敏感だ」と認めた。フェルスタッペンは今回のアップグレードとローダウンフォース仕様を試していたが、角田裕毅は次戦まで新パッケージを待たされることになった。一発の速さでは苦戦し、全体4番手、トップから0.22秒遅れという結果に終わったが、レースペースでは2番手につけており、改善の兆しはあった。FP1を走らなかった角田裕毅は、FP2での走行について「いくつか運転やセットアップで改善できることがある。最適化するだけだ」と述べ、まずまずの感触をつかんでいるようだった。メルセデスは気温低下に一縷の望みオーストリアで気温上昇に苦しんだメルセデスは、ホームレースとなるイギリスGPでも路面温度が40度に達し、再び厳しい状況に陥った。エネルギーの多くをタイヤにかけるこのレイアウトに、高温の路面が加わり、ロングランでのペースは落ち込み、強風下でのバランスも難しかった。とはいえ、状況は見た目ほど悪くはない。F1.comの予選シミュレーションによれば、メルセデスはトップから約0.15秒差で2番手、レースシミュレーションでは0.17秒差で3番手というデータが出ている。さらに、週末にかけて気温の低下と雨が予想されており、理論上は彼らが再び上位争いに加わる可能性も出てきている。レーシングブルズとアストンマーティンが好調な初日リアム・ローソンとアイザック・ハジャーは、金曜の両セッションでトップ10圏内に入り、高速コーナーが多いシルバーストンでのマシンの強さを示した。2人はソフトとミディアム両方のタイヤで安定したペースを記録し、ロングランではタイヤの使い方が最も優れていた。一方、サーキットのすぐ近くにファクトリーを構えるアストンマーティンも、今季最後となる主要アップグレードを投入し、前向きな材料を得た。ランス・ストロールはFP2で特に速さを見せ、F1.comのシミュレーションでは予選・決勝の両方で5番手に位置している。彼らはQ3進出と日曜のポイント獲得に向けて、レーシングブルズとし烈な争いを繰り広げることになりそうだ。
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