ブリヂストンが、F1イタリアGPの展望を語った。2010年F1世界選手権のヨーロッパ最終戦となる第14戦イタリアGPが9月10日〜12日に開催される。歴史的なモンツァ・サーキットで行われるこのレースで、ハード、ソフト両コンパウンドを使用する。F1開催サーキットの中でトップスピードが最も速いサーキットの一つであるモンツァは、いくつもある長いストレートがブリヂストンタイヤに数多くの課題を呈する。チームはクルマのダウンフォースを低めに設定するので、タイヤのメカニカル・パフォーマンスの重要性がいっそう高くなる。
安川ひろし (株)ブリヂストンモータースポーツ推進室長「私たちにとってヨーロッパで最後になるF1グランプリは、様々な感情が湧き上がるレースになるでしょう。イタリアはモーターレースの大いなる遺産を保有する国で、ブリヂストンがこれまで貢献してきた国です。イタリアは自動車生産大国でもあり、ローマ近郊にはブリヂストンの大規模工場、営業所、テクニカルセンター、そしてプルービンググランドがあります。当社のF1プログラムの主要目標はヨーロッパでの自社ブランド認知度を高めることにありました。モンツァのような素晴らしいサーキットでグランプリに参戦したことが、この目標を達成する上で大きな力になりました」 浜島裕英 (株)ブリヂストンMS・MCタイヤ開発本部フェロー「モンツァのレイアウトに合わせてチームはダウンフォースを低めに設定します。これは当然タイヤにも影響を与えます。メカニカルグリップの必要性が高くなることを考慮しなければなりませんし、低いダウンフォースはブレーキ性能にも関係してきます。モンツァのシケイン手前は高速走行からのハードブレーキングが必要な場所です。その結果タイヤにフラットスポットが発生する可能性があります。チームはこの場所でブレーキの効果を高めるため重量配分に細心の注意を払うでしょう。モンツァは長いストレートで有名ですが、これがタイヤに興味深い影響を与えます。ストレートではタイヤのバルク温度が下がる効果がありますが、同時にタイヤ圧が完璧でなければそれを目立たせる可能性もあります。タイヤ圧が低過ぎる状態で抵抗力が加わり、タイヤ内で過剰な発熱が起きると、コーナー通過時のグリップ力が十分ではなくなります」