バルテリ・ボッタスは、2026年からのF1復帰先としてキャデラックを選んだ決断の裏に、アルピーヌとの間で実際に交渉があったことを明らかにした。長く噂されてきた「アルピーヌ復帰」の可能性を本人が認めたことは注目に値するが、最終的に彼が選んだのは、米国ブランドがF1に初参戦する全く新しい挑戦だった。2024年末にザウバーのシートを失い、F2王者ガブリエル・ボルトレトにその座を譲ったボッタスは、一時は現役キャリアの終わりが危ぶまれた。
しかし2025年シーズンはメルセデスにテスト兼リザーブドライバーとして復帰し、パドックに存在感を残し続けてきた。そしてついに、キャデラックがセルジオ・ペレスとのラインアップを発表。2026年に向け、ボッタスのF1キャリアは新たなステージに移行することになった。アルピーヌ交渉の舞台裏フランコ・コラピントの不振により、アルピーヌはドライバーラインアップの再編を検討していたと噂されていた。ボッタス自身も、木曜日にザントフォールトで行われたF1 TVのインタビューで、その接触が事実であったことを認めている。「事実だ。アルピーヌとはいくつか話をした」とボッタスは語った。しかし彼が選択したのは、既存チームでの短期的なリターンではなく、キャデラックと共に長期的な未来を築く道だった。ボッタスは次のように説明している。「今年の初めに、僕にとってなぜそれが明確になったかというと、このプロジェクト全体だ。彼らの計画についてもっと聞き、投資の仕方や集めている人々を知ったとき、このキャリアの段階で、一定の年数にわたって確定したものがあるのは魅力的だった。自分の手を汚して関わることができる」「ゼロから何かを始める機会なんて、そう毎日あることではない。だからそれに参加できるのは面白いことになる」キャデラックとの交渉は「シームレス」キャデラックとの縁は突然ではなかった。ボッタスはチーム代表のグレアム・ロードンと2年前、まだザウバーに所属していた時期から会話を始めていたという。「このプロジェクトについてグレアムと最初に話したのは2年前だった」とボッタスは振り返る。「それから少しずつ、彼は僕に進展や計画、進捗について知らせてくれた。今年の初めには心の中で、これをやりたいと明確になった。それがこのプロジェクトに関わりたいと思った理由だ」交渉が本格化した段階でも、手続きは驚くほどスムーズに進んだと強調する。「実際、最終的にもっと真剣な話をするようになってからは、物事はかなりスムーズに進んだ。彼らは僕を欲していたし、僕もそこにいたいと思った。だからほとんどシームレスだった」再び「レーシングドライバー」として2013年にウィリアムズからF1デビューを果たし、メルセデスでは勝利を重ね、2024年末にザウバーで一区切りを迎えたボッタス。長いキャリアの中で初めてシートを失った後の1年を経て、再び明確な未来を手にしたことに安堵の表情を見せている。「すべてが決まっているとわかるといい気分になる」とボッタス。「明確な計画があり、仕事がある。それは良い気分だし、ある意味で安心でもある。まるでウィリアムズと最初のF1契約をしたときと同じくらいの気持ちだ。再びレーシングドライバーになったように感じる。本当にクールだ」アルピーヌとの接触を経て、キャデラックという未知の挑戦を選んだバルテリ・ボッタス。彼の決断には、単なる延命ではなく「ゼロから始める」プロジェクトに深く関与し、自身のキャリアを新たな形で締めくくろうとする意志がにじむ。ペレスと共に2026年のグリッドに並ぶその姿は、ボッタスにとって“第二のデビュー戦”となるだろう。
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