オスカー・ピアストリがランド・ノリスをオープニングラップで抜き、ベルギーGP決勝で堂々たる勝利を挙げた。スプリントではマックス・フェルスタッペンに屈したものの、週末全体としては見事な巻き返しを果たした。だが、スパでのウェット・ドライ混在の難しい週末で光ったのはピアストリだけではない。一方で失速したドライバーたちもおり、明暗がはっきりと分かれた。ここでは、F1第13戦ベルギーGPのスプリントフォーマットにおける6人の勝者と5人の敗者を振り返る。
勝者:オスカー・ピアストリピアストリは、直近3戦で勝利なしという今季最長のスランプに陥っており、ここ2戦ではいずれもノリスに敗れていた。スプリントではポールポジションからスタートしながらも、現チャンピオンのマックス・フェルスタッペンに勝利を奪われたが、日曜の本戦ではノリスをすぐに追い詰めてオーバーテイクを決め、ミディアムタイヤを巧みにマネージして余裕を持って勝利を手にした。今季6勝目を挙げたことで、ピアストリの連続ポイント獲得記録は31戦となり、この記録を超えているのはフェルスタッペンとルイス・ハミルトンのみ。また、スプリントでの2位も含め、ドライバーズ選手権でノリスに対して16ポイントのリードを築いた。オスカー・ピアストリがベルギーGPで勝利を取り戻した敗者:アイザック・ハジャーレーシングブルズはスパの高速コーナーで強力なパフォーマンスを見せ、アイザック・ハジャーはその速さを生かしてスプリントで1ポイントを獲得した。日曜の本戦でも8番グリッドから好調な走りを見せていたが、8周目にストレートでのスピードを失うトラブルに見舞われて失速。これによりリタイアを喫し、グランプリでの連続ノーポイント記録は4戦に伸びた。勝者:シャルル・ルクレールフェラーリはスパにアップグレードを投入したが、それでもマクラーレンに比べればまだ性能にギャップがあるとルクレールは認めている。とはいえ、アップデートにより過激なセットアップを選ばずに済むようになり、マシンに対してより快適さを感じていた。その成果はベルギーで現れ、スプリントでは4位、決勝では今季5回目の表彰台、そしてスパで3年連続の3位を達成した。シャルル・ルクレールのスパでの3位は今季5度目の表彰台となった敗者:カルロス・サインツカルロス・サインツの波乱のシーズンはベルギーでも続いた。練習走行では燃料系トラブルで走行時間を失ったが、スプリントではウィリアムズにとって史上最高となる6位を獲得。しかし、予選ではセットアップの方向性を誤り、アレクサンダー・アルボンから10グリッド差の15位に沈んだ。決勝ではウェットセットアップで賭けに出たが、レース序盤のウェットコンディションはすぐに回復し、周囲と戦うにはペース不足だった。これで直近5戦でのポイント獲得は1回のみとなった。勝者:リアム・ローソンハジャーがメカニカルトラブルに苦しむ一方で、リアム・ローソンは、チーム代表アラン・パーメインの言葉を借りれば「ほぼ完璧なレース」を披露した。インターとスリックの両タイヤを巧みに使い分け、ザウバーのガブリエル・ボルトレトを突き放して8位フィニッシュを決めた。これで直近3戦のうち2戦でポイントを獲得し、ドライバーズ選手権でハジャーに6ポイント差まで迫った。リアム・ローソンがベルギーで見事な8位入賞を果たした敗者:メルセデスメルセデスにとっては屈辱的な週末となった。マクラーレン、レッドブル、フェラーリに対して明らかにペースが劣っていた。スプリントではジョージ・ラッセルとキミ・アントネッリの両者がノーポイントに終わり、日曜の決勝ではラッセルが5位を確保したが、勝者からは34秒遅れだった。アントネッリはウェットセットアップが序盤には有効だったものの、レース後半ではストレートスピード不足に悩まされてポイント圏外に沈んだ。コンストラクターズ選手権でメルセデスはフェラーリに28ポイント差をつけられている。ジョージ・ラッセルはスパでの5位について「実際のペースを上回った結果」と語った勝者:ピエール・ガスリーアルピーヌは現状、グリッド最下位クラスの戦闘力しか持っていないが、ガスリーはスプリント予選でトップ10入りを果たす見事なパフォーマンスを見せた。しかし、スプリントではウォータリークが発覚して出走できず、決勝はトップ10圏外からのスタートとなった。それでも、低ダウンフォース仕様を採用したマシンはストレートで速さを見せ、旧友の角田裕毅と激しいバトルを展開した末に、1ポイントをもぎ取った。敗者:角田裕毅角田裕毅にとっては波乱の週末となった。スプリント予選ではSQ3進出を逃し、スプリントでもポイントを取れず11位に終わった。だが、スプリントと予選の間にレッドブルがアップグレードされたフロアを彼のマシンに装着し、ぶっつけ本番で適応しながら予選ではレッドブル加入後最高位の7番手を獲得した。決勝では、ピットインのタイミングでのチームとのミスコミュニケーションにより、ピットレーン通過後にピットイン指示が出されたためにインターで余計な1周を走る羽目に。これでポイント圏外に沈み、戦列から脱落した。勝者:ルイス・ハミルトンルイス・ハミルトンは、スプリント予選とGP予選の両方でQ1敗退を喫したことは「許されない」と語ったが、週末を通じてフェラーリとの適応が進んでいる兆しが見られた。新しいコンポーネントによりスプリント予選ではブレーキングでロックしてスピンしてしまったが、その後はブレーキングの感覚が今年一番良くなったと感じていた。決勝ではピットレーンスタートにもかかわらず、滑りやすいコンディションの中でかつてのハミルトンのような追い上げを見せ、完璧なタイミングでのピット戦略も功を奏してトップ10入り。最終的に7位でフィニッシュし、ファンから「ドライバー・オブ・ザ・デイ」にも選ばれた。ルイス・ハミルトンはピットレーンスタートから7位まで巻き返した敗者:アストンマーティンアストンマーティンはスパにアップグレードを投入したが、期待した効果は見られなかった。フェルナンド・アロンソとランス・ストロールは予選で最下位となり、決勝でも14位と17位に終わる厳しい週末となった。ベルギーでは唯一ポイントを獲得できなかったチームであり、コンストラクターズ選手権では8位争いでハースにわずか1ポイント差まで詰め寄られている。勝者:ハースハースはスプリント週末で驚きの活躍を見せ、スプリント予選で2台揃ってトップ7入りし、その好位置を生かしてダブル入賞を果たした。エステバン・オコンはチーム今季最高位タイとなる5位でフィニッシュ...