エイドリアン・ニューウェイ(アストンマーティン)は、健康問題による入院治療を受けたとの報道が浮上するなか、その“長期不在”を巡って様々な憶測が広がっている。英Daily Mailは、ニューウェイが最近「体調不良」に見舞われ、病院で治療を受けていたと報道。PlanetF1は、現在のニューウェイが「主に自宅から業務を行っている」と伝えた。
一方、アストンマーティンF1は詳細な説明を避け、「チームメンバーの個人的事項についてはコメントしない」としつつ、「エイドリアンは仕事をしており、先週はキャンパスにも来ていた」と説明している。ただ、ニューウェイの“消失”を巡っては、単なる健康問題だけでは説明できないとの見方も浮上している。ニューウェイはなぜF1パドックから姿を消したのか2026年シーズン開幕戦オーストラリアGPで、ニューウェイはホンダ製パワーユニットの状況について厳しいコメントを残し、大きな話題を呼んだ。しかし、その後の中国GP、日本GP、マイアミGPには姿を見せていない。スペインメディアは、ニューウェイがオーストラリアGPへ姿を見せたのは、2026年シーズン開幕戦であり、チーム代表として欠席できない事情があったためだと指摘している。表向きには、ニューウェイがシーズン全戦へ帯同しないことは以前から予定されていたとされる。PlanetF1によると、ニューウェイは年間10〜14戦程度のみ現場入りする予定で、これは前任のアンディ・コーウェルに近いスケジュールだったという。ただ、スペインメディアは、現在のアストンマーティンF1の状況そのものがニューウェイの役割を変化させている可能性を指摘している。AMR26はシーズン序盤、ホンダ製パワーユニット由来とされる深刻な振動問題に苦しみ、フェルナンド・アロンソは日本GPまで大きな不快感を訴えていた。マシン自体もダウンフォース不足が指摘されており、アストンマーティンF1は開幕4戦を終えてノーポイント。現在はキャデラックF1と争う位置まで後退している。そのため、「現時点ではサーキットへ行っても評価すべき新パーツが存在しない」との見方も出ている。実際、現場ではマイク・クラックが実質的なチーム代表として振る舞っており、ニューウェイはファクトリー側で技術開発へ集中しているとの報道もある。“管理職ニューウェイ”は暫定構想だった可能性そもそも、ニューウェイのアストンマーティンF1加入時から、「チーム代表」という肩書き自体に驚きの声は少なくなかった。これまでのニューウェイは、空力設計と技術開発に集中する“純粋なエンジニア”として知られてきた人物であり、スポンサー対応やメディア業務を含むマネジメント型のチーム運営とは距離を置いてきた。そのため、現在の体制はあくまで暫定的なものではないかとの見方も強まっている。PlanetF1は、ニューウェイ自身が新たな正式チーム代表の選定を主導していると報じており、その最有力候補としてアウディを離脱したジョナサン・ウィートリーの名前が浮上している。ウィートリーはレッドブル時代にニューウェイと長年仕事を共にしており、セバスチャン・ベッテルやマックス・フェルスタッペンとのタイトル獲得を支えた。ただし、ウィートリーが実際にアストンマーティンF1へ加わるには、アウディとのガーデニング休暇(競業避止期間)が障害になる可能性もある。報道では6か月〜1年規模になるとの見方もあり、短縮にはアウディ側との交渉が必要とされている。そのため、ニューウェイとクラックによる現在の体制は、正式な新代表体制が整うまでの“移行期間”として機能している可能性もある。アストンマーティンF1は“再建モード”へもっとも、アストンマーティンF1内部では、ここ数週間で一定の前進も報告されている。マイアミGPでフェルナンド・アロンソは、ホンダPUの振動問題について「もう問題はない」と説明。ホンダのさくら拠点と共同で進めてきた対策が成果を上げ始めているとみられている。ただし、依然としてパフォーマンス不足は深刻で、メルセデス勢との差は大きい。そうした状況のなか、ニューウェイは現場よりもファクトリー開発を優先し、2026年マシン後半戦アップデート、さらには2027年型AMR27の基盤構築へ集中している可能性が高い。入院報道によって広がった“ニューウェイ失踪説”だが、その裏ではアストンマーティンF1の技術危機と組織再編が同時進行しているのかもしれない。