フェルナンド・アロンソとアストンマーティンF1を巡り、元F1ドライバーのジョリオン・パーマーが厳しい見方を示した。2026年F1日本GPでアストンマーティンは今季初めて完走を果たしたものの、パーマーはそれを前進とは受け取っておらず、現状を「歴代級の失敗」とまで表現した。パーマーは『F1 Nation』ポッドキャストの中で、アストンマーティンが完走の代償として大幅な妥協を強いられていると指摘した。
日本GPではアロンソが21番手で予選を終え、Q2進出ラインの16番手までなお大きな差があったことを踏まえ、その競争力不足は深刻だと断じている。ローレンス・ストロールがかつて掲げた「5カ年計画」は、頂点を目指す構想として語られてきた。しかし、その期限が残り1年となった現在、アストンマーティンはコンストラクターズ選手権で無得点のキャデラックF1すら下回る位置に沈んでおり、期待と現実の落差がいっそう際立っている。完走できても前進とは言えない現実パーマーが問題視したのは、単に遅いというだけではない。マシンを完走させるために出力面で譲歩し、ドライバビリティと信頼性を優先せざるを得ない状態にあることだ。「彼らは日本で本当に遅かった」「明らかに問題の切り分けをしているところだ。レースを完走できるようにするためだけに譲歩を重ねてきた」さらにパーマーは、アストンマーティンの現状を極めて重い言葉で表現した。「状況はひどい。我々が見ているのは歴代級の失敗のひとつだ。アストンマーティンは、ドライバビリティと信頼性を少しでも確保するために大きくパワーを落とした状態でしかレースを完走できない。その状態で、開幕から3戦を終えてようやく1台だけが最後まで走れた。これはひどいことだ」日本GP予選では、アロンソがQ2に進出するためだけでも大きなタイム差を埋める必要があったとされる。パーマーは、この差が短期間で解決できるものではないと見ている。「Q1を突破するだけで1.7秒も足りない。去年ならその差の中にグリッドを丸ごと2つ入れられたくらいだ。それはフェルナンド・アロンソがQ2に行くためだけに必要な差だ。それが彼らに求められているパフォーマンスの水準であり、すぐにどうにかなる話ではない」アロンソに見える“別の顔”一方でパーマーは、アロンソ個人の振る舞いについては意外な変化を感じ取っている。かつてマクラーレン・ホンダ時代には、ホンダのパワーユニットを厳しく批判したアロンソだが、今回は感情を爆発させるのではなく、忍耐を見せているという。日本GPでは、アロンソがホンダの社長に温かく挨拶する場面もあった。かつて同じ鈴鹿でエンジンを「GP2」レベルと表現したドライバーとは異なる姿が、そこにはあった。パーマーは、そうしたアロンソの現在地を2002年のルノー時代になぞらえた。当時のアロンソは実戦というより開発色の強い役割を担っており、いまのアストンマーティンでの立場もそれに近いという見方だ。「今のフェルナンドからは、現状全体に満足していない様子が見える。今年はかなり率直にも語っている」「ただ、その一方で忍耐も見える。2回のワールドチャンピオンで、まもなく45歳になる彼なら、ここでかんしゃくを起こして『もう終わりだ』となってもおかしくない。2026年への夢は実現していないのだから」「それでも、ここではフェルナンドの別の面を見ている。忍耐のゲームだ。『正しくはない。だが、これをどうする?』と考えているように見える」“走って報告するだけ”という厳しい評価パーマーは、現在のアストンマーティンを事実上の開発走行段階にあるチームだと捉えている。アロンソもランス・ストロールも、週末に結果を争うというより、マシンの挙動を確認して報告する役割に追われているというのがその見立てだ。「これは2002年のフェルナンドだ。彼は25年ぶりにテストドライバーになっている。今のアストンマーティンがやっているのはそれだけだ」「彼らがまったく競争力を持っていないのは、本当に嘆かわしい。彼はキャデラックの後ろでフィニッシュした。あまりにも離されている」「彼やランスにとって、現段階では戦うものが何もない。毎週末サーキットに来て、周回を重ねて、バランスを報告する。それが今の仕事になっている。現時点では、結果そのものすらそれほど重要ではない」アストンマーティンにとって、日本GPで完走できたこと自体は最低限の材料ではある。しかし、パーマーの見立ては、その事実だけで状況を楽観視できる段階ではないというものだ。2026年の体制を大きな飛躍の年と位置づけていたチームが、いまは完走とデータ収集を優先せざるを得ない。その現実が、アロンソという大物の立場をも変えてしまっている。