2026年F1シーズンの開幕とともに始まったアストンマーティンとホンダのパートナーシップは、期待とは裏腹に不安定な立ち上がりを見せている。チームは低迷の要因としてパワーユニット側の問題を繰り返し指摘しており、その構図が過去のある事例と重なり始めている。その比較対象とされているのが、かつてマクラーレンがメルセデスとの関係において取っていた対応だ。
技術的課題を巡る責任の所在が、チーム内の力学や政治的な判断によって外部へと向けられていた可能性が浮かび上がっている。ホンダ批判の構図と浮かび上がる課題アストンマーティンは2026年シーズン序盤の不振について、ホンダ製パワーユニットの振動問題を主因として挙げている。フェルナンド・アロンソは日本GPでようやく今季初完走を果たし、ランス・ストロールはここまで合計82周の走行にとどまっている。この振動問題については、エンジン単体ではなくシャシー側の影響も指摘されている。ホンダ上層部は、問題がAMR26への搭載後に顕在化したことから、シャシーが振動を増幅している可能性を見ているとされる。また、エイドリアン・ニューウェイが手がけたこのマシン自体も、期待に達していないとの見方が出ている。それにもかかわらず、チーム側の発信は一貫してホンダ側の問題に焦点を当てている。この状況が、過去のマクラーレンとメルセデスの関係と重ねられている。マクラーレン時代との共通点デビッド・クルサードは、マクラーレン在籍時にチーム代表ロン・デニスから「問題があればエンジンのせいにするように」と指示されていたと明かしている。「ロン・デニスは、何か問題があれば『エンジンのせいだと言え』と言っていた」「当時のモータースポーツ責任者だったノルベルト・ハウグにその話をすることもあったが、彼がクルマのせいにしろと言ったことは一度もなかった」「つまり、同じチームであっても、実際には成功を目指す2つの異なる組織だったということだ」この構図は、現在のアストンマーティンとホンダの関係にも通じる。表向きはワークス体制であっても、責任の所在が明確に共有されていない場合、こうした“責任の外部化”が起きやすい。ニューウェイ初号機に向けられる視線今回のホンダ批判が意味するもうひとつの側面は、ニューウェイが加入後初めて関与したマシンへの評価を巡る問題だ。アストンマーティンは2025年4月にニューウェイを迎え入れ、その後のマシン設計を任せている。しかし、2026年型マシンAMR26は現時点で結果を残せておらず、本来であればその設計思想やパフォーマンスが問われる局面にある。だが、パワーユニット側の問題に議論が集中することで、シャシーへの直接的な批判は相対的に抑えられている。この点が、戦略的な情報コントロールと見る向きもある。パートナーシップに残るリスクホンダは今回のプロジェクトのためにF1活動を再構築しており、今回の一連のネガティブな報道はブランドイメージへの影響も小さくない。かつてマクラーレンとの関係では、過度な要求や制約がパワーユニット開発の妨げとなり、最終的にプロジェクトは短期間で解消された。ホンダは2019年にレッドブルと組んで以降、ようやく成功を手にした経緯がある。今回のアストンマーティンとの関係においても、同様の構図が繰り返される場合、パートナーシップそのものの持続性が問われる可能性がある。現時点ではまだシーズン序盤だが、責任の所在を巡るこの構図が今後どのように変化していくかは、2026年F1の重要なテーマのひとつとなりそうだ。Source: F1 Oversteer
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