アストンマーティンのF1チーム代表兼CEOであるアンディ・コーウェルは、もしエイドリアン・ニューウェイの関心を2025年型マシン開発に向けていれば、今季はより良い成績を残せていたと主張している。RacingNews365との独占インタビューでコーウェルは、この名高いデザイナー兼空力技術者をあえて2026年プロジェクトに専念させている理由と、それが今季の戦いに与えた影響を明かした。
ニューウェイはレッドブルで約20年を過ごした後、今年3月初めにマネージング・テクニカルディレクターとして正式加入。しかし現行マシン「AMR25」には一切関与せず、来季から導入されるシャシーおよびパワーユニット新規則対応の開発に全力を注いでいる。ローレンス・ストロールの巨額投資により、ホンダとのワークスPU提携や最新施設の整備、ニューウェイをはじめとする大物人材の招聘など、アストンマーティンは2026年以降に向けて集中的な体制強化を図ってきた。その一環として、過去に14度のドライバーズタイトルと12度のコンストラクターズタイトルを獲得した名設計者を次世代マシン開発に完全投入している。コーウェルは、この「犠牲」の理由について「投資の回収はより多くのシーズンで果たされる」と説明しつつも、「もしニューウェイがAMR25の問題に取り組んでいれば、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールはもっと速いマシンと結果を手にしていただろう」と語った。「今年は非常に厳しい。私たちが本当に望むのは最速のマシンだ。もし26年がなければ、間違いなく今より速いクルマを持っていたはずだ」「3月1日からニューウェイが25年型の改善に全力を注いでいたら、絶対に今より上位にいたと確信している。しかし私たちはそうせず、26年以降に集中している。なぜなら投資はより多くのレース、より多くのイベントで回収されるからだ」「それは難しい決断だ。土曜の予選後、日曜の決勝後、日曜の夜も月曜の朝も、満足はしていない。だが仕事のリストに取りかかり、前に進むだけだ」高まる期待と過去2年の停滞F1パドック全体でも、アストンマーティンは過去2シーズンにわたり期待を裏切ってきたとの見方がある。2023年は序盤8戦で6度の表彰台を獲得したものの、最終的にはコンストラクターズ5位。2024年も同じ5位ながら、内容は大きく後退した。今季は26年開発への集中により、コンストラクターズ6位を辛うじて維持している状況だが、ハンガリーGPでの5位・7位入賞がなければ、さらに厳しい順位になっていた可能性が高い。それでもチームは新時代に向けた楽観姿勢を崩していない。現行シーズンでも可能な範囲で競争力を高めようとしているが、開発ペースや方向性には制約がある。「星を狙えば木は越えられる」ローレンス・ストロールが現状より速い進歩を望んでいるのではないかとの質問に、コーウェルは「全員がそうだ」と答えつつも、現時点では達成よりも野心を重視していると説明した。「毎日大量のことをやろうとし、ほとんど達成するが全部ではない。もし計画を予定通り達成できるなら、少し安全策をとったということだろう」「私は間違いなく『星を狙えば木は越えられる』という考え方の人間だ。完璧を目指す目標を設定するが、それは達成するためではなく、追い求めるためのものだ。ローレンスもその考えを楽しんでいると思う」