アストンマーティンは、アンディ・パーマーが5月25日付で最高経営責任者(CEO)を退任し、後任にメルセデスAMGの会長兼株主であるトビアス・ムアースが8月1日付が新CEOに就任することを発表。それまでの期間は現在の副社長であるキース・スタントンが臨時のCOOを務める。これはアストンマーティンが、ローレンス・ストロール体制になってから最初の大きな組織変更となる。
トビアス・ムアースは、アストンマーティンの株式を所有し、同社のエンジンおよび部品サプライヤーであるメルセデスの収益性の高いパフォーマンス部門を率いて以来、AMGの存在感と利益の増幅に貢献してきた。ローレンス・ストロールは、メルセデスAMGにおけるトビアス・ムアースの管理アプローチを高く評価しており、ムアースの加入はアストンマーティンにとって大きな後押しになると考えていると語る。「彼は非常に才能のある自動車の専門家であり、ダイムラーAGでの長年の間に強力な実績とともにビジネスリーダーであることを証明してきた。我々はダイムラーAGと長期的な成功した技術的および商業的パートナーシップを築いており、それを継続するのを楽しみにしている」とローレンス・ストロールは語った。「経歴を通して、彼はプロダクトの拡大、ブランドのポジショニングの強化、収益性の向上を実現してきた。「彼はアストンマーティン・ラゴンダの適切なリーダーだ。我々はそのポテンシャルを最大限に引き出すためにビジネスの戦略を実行している」「会社に対する我々の野心は重大かつ明確であり、成功への決意によってのみ一致する」退任となるアンディ・パーマーは、過去6年間CEOを務めてきた。その間にレッドブル・レーシングのタイトルスポンサーへの就任、ヴァルキリーの共同開発などのプロジェクトを進めてきたが、業績は急激に悪化していた。今年1月、レーシング・ポイントF1チームの会長であるローレンス・ストロールはアストンマーティンの株式の25%を購入して同社の会長に就任。2021年からレーシング・ポイントF1チームは、アストンマーティンF1チームにブランドを変更することが発表されている。一方、ダイムラーは、メルセデスF1チームを売却してエンジンサプライヤーとしてのみF1活動を継続していくとの噂が盛んに報じられており、その際はローレンス・ストロールが現メルセデスF1の代表であるトト・ヴォルフとともにチームを買収し、アストンマーティンF1チームと合併するともいわれている。今回のアストンマーティンとダイムラーとの間での役員人事がどのような意味を持ってくるかが興味深い。