マイケル・アンドレッティ率いるアメリカのF1チームがFIA(国際自動車連盟)からF1の11番目のチームとしてグリッドに加わる承認を与えられたというニュースを受けて、F1ドライバーたちは様々な反応をみせている。F1も統括団体がアンドレッティ・フォーミュラ・レーシングの申請を承認した今、新F1チームの登場はFOMとの商業的な話し合いに委ねられている。
現在のF1チームは賞金と収益の希薄化を懸念し、F1グリッドの拡大には一般的に反対している。メルセデスF1のチーム代表であるトト・ヴォルフは、安全性への懸念と既存チームへの財政的影響を理由に、アンドレッティの入札を最も声高に批判しているひとりだ。ルイス・ハミルトンは上司のコメントとは対照的に、11番目のF1チームを歓迎すると述べた。「ドライバーの立場からすれば、より多くのマシンを見られる可能性があるのはエキサイティングなことだと思う」「それに、11番目のチームというアイデアは...僕たちのチームには2,000人以上がいる。つまり、膨大な仕事の量だ。しかし、かなり厳しい基準が本当に尊重されるようにしなければならない」FIAは2月に新しいチームプロセスを開始し、申請者のスポーツ能力と技術力、そして代表レベルで戦うために十分な資金を調達し維持する能力を評価した。また、申請するチームは、2030年までにネットゼロを達成するというFIAの目標に合致するような持続可能性プランの概要や、シリーズへの参加を通じて社会的にどのような好影響を与えようとしているのかを示すことも求められた。「実際に基準を修正し、真の影響を与える機会を確保し、新しいチームが存在する場合には多様性を持たせる必要があると感じている」とハミルトンは続け、現在のスポーツにおける代表者の不足を批判した。「彼らはおそらく女性ドライバーが活躍できる機会を作らなければならない。そして、トップから多様でなければならない。現時点ではオーナーは全員白人だ。トップダウンには多様性がない。男性ばかりで、それを変える必要がある」「本当に長い間知っているステファノを100%信頼している。彼がトップでやっていることを考えると、彼以上に優れた仕事をできる人はいないと思う。そして彼が正しい決断を下すだろうと僕は知っている」新たに3連覇を達成したマックス・フェルスタッペンは、アンドレッティとFOMにとって既得権益が「厄介」な 状況を生み出していることを認めた。「それについてコメントするのはいつもとても難しい。ドライバーの立場から言わせてもらう。これまで僕が見てきたものすべて、それにパートナーや名前も含めて、彼らはプロフェッショナルなチームであることを示してきた」とコメント。「だから、ドライバー側にとってチャンスが増えるのはいいことだと思う」でも、チーム側がそれを望んでいないことも理解できる。それは難しいことだ。結局のところ、FIAとチーム、そしてFOMは、すべてがどれほど深刻で、どれほど準備万端であるかについて、より多くの情報を持っている。だからこそ、非常に簡単な決定にはならないだろう」GPDA(グランプリドライバー協会)の会長であるジョージ・ラッセルは、F1グリッドの拡大に関して、量よりも質を求めた。「F1は最高峰であり、我々は質の高い競争が見たいので、賛成でも反対でもないけど、もし追加チームが存在するとしたら、それは間違いなく質の高いチームでなければならないし、スポーツをさらに盛り上げることができるものでなければならない」とラッセルは付け加えた。フェルナンド・アロンソもまた、アンドレッティのF1グリッドへの追加をめぐるメディアの質問に対して慎重な反応を示した。2017年のインディ500でアンドレッティと戦ったアロンソは「素晴らしいチームだ。マイケル(アンドレッティ)のことをを知っているし、彼は明らかにF1に加わる素晴らしい名前になるだろう。でも、この種の決定を担当する人が他にもいる。まずはFIAとFOM、そしてチームも同様だ」アストンマーティンのオーナーであるローレンス・ストロールは、「壊れていないのであれば、直す必要はない」と述べ、自身とアストンマーティンがいかなる拡大にも断固反対する姿勢をすでに示している。シリーズにおける競争激化の見通しについて尋ねられたアロンソは「僕がここに何年いるかは分からないけど、F1ではチーム間の戦いがあまりないのかも分からない」と答えた。「たとえコース上に50人いるとしても、1人か2人のドライバーと戦うだけだ。彼らは多かれ少なかれあなたたちと同じパッケージを持っているからね:」「過去には、1チームにつき3台のマシンを用意するといった議論もあった。だから結局のところ、何が最善の解決策なのかはわからない。でも、さっきも言ったように、この種のことを決めるのは非常に優秀な人たちだと思う。僕たちはFIAやFOMを完全に信頼しているので、、安心して任せられる」リアム・ローソンは2023年のカタールGPがアルファタウリでの最後のスタートになる見込みで、ダニエル・リカルドは来週末のオースティンで復帰することになっている。代役として印象的な活躍を見せたにもかかわらず、アルファタウリは角田裕毅とリカルドの2024年の残留を承認し、レッドブルはセルジオ・ペレスとのコミットメントを堅持しているため、ローソンは2024年のレースシートを失う可能性が高い。11番目のF1チームができれば、フルタイムのシートを見つけるというミッションがよりシンプルになるかと尋ねられたローソンは「僕の状況では、イエスだと思う。間違いなく助けになるだろう」と答えた。「レースのためにグリッドにマシンがもっと多くなるのは明らかだけど、ずっとこのように10チームだけだから、あまり考えたこともなかった」「だから、正直なところ、よくわからないんだ。僕のような人間にとっては、それがF1への一歩を踏み出すのに役立つと思う」アンドレッティのF1グリッドへの追加は、FOMおよびF1権利所有者であるリバティ・メディアとの商業合意に達することが条件となっている。