アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、2025年F1ラスベガスGPで3位表彰台を獲得した。ウェットコンディションとなった予選でQ1敗退を喫し、決勝は17番手スタートという苦しい状況だったが、チームが選択した「超早期ピットストップ」が勝負の分岐点となった。
アントネッリは2周目終了時点でハードタイヤへ交換し、そのまま最後まで走り切る作戦を敢行。タイヤのデグラデーションが極めて小さい同サーキットの特性を最大限に活かす形となり、大幅な順位上昇につながった。さらに、レース後にマクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリがスキッドブロック磨耗による失格となったことで、アントネッリは5位から繰り上がり3位に確定。自身に課せられた5秒ペナルティ(ジャンプスタート)も結果的に影響を受けない結果となった。「途中は不安だった」それでも走り切ったハードタイヤアントネッリはレース後、マクラーレン勢失格の発表前に取材へ応じ、チームの作戦をこう振り返った。「本当にうれしい。戦略はすごくリスキーだった。レースの半分くらいまでは正直かなり不安だった。グレイニングが出始めて、このまま最後まで持つのか確信が持てなかったんだ」「でも無線で“プランBに移行する”と言われて、つまりこのセットで走り切る方針になった。だから、とにかくタイヤをうまくマネジメントしようと集中した。するとグレイニングが少しずつ消えて、タイムも回復してきて、最終的にはオスカーとシャルルを後ろに抑え込むことができた」「もちろん、ペナルティで4位を失ったのは運が悪かったけど、それでもすごく強い結果だと思う」ブラジルに続く連続表彰台、復調の流れは確かなものに前戦ブラジルGPで2位表彰台を獲得していたアントネッリは、今回で2戦連続のトップ3入り。ヨーロッパラウンドで苦戦した時期から一転、パフォーマンスは明らかに上向いている。「マシンのフィーリングはどんどん良くなってきているし、ここ最近は本当にドライブするのが楽しい。ブラジルのあと、いいモメンタムが続いている」「昨日(予選)は残念で、すごく悔しかった。でも今日は本当に挽回できた。残り2戦に集中したいし、シーズンを最高の形で締めくくりたい」アントネッリはまだルーキーシーズンの真っただ中だが、ここに来て急速な成長を示している。ラスベガスでの“背水の陣”からの3位獲得は、タイトル争いの陰で存在感を確実に高める一戦となった。