2025年F1第19戦アメリカGP決勝は、灼熱のオースティンでマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が圧倒的な走りを見せ、今季5勝目を挙げた。2位はランド・ノリス(マクラーレン)、3位はシャルル・ルクレール(フェラーリ)。フェルスタッペンはスタートから最後まで主導権を握り、シーズン後半のタイトル争いを再び熱くした。
猛暑と高い路面温度に悩まされたレースは、各チームのタイヤ戦略が鍵となり、序盤の接触劇や終盤のオーバーテイク合戦など見どころ満載の展開に。ここでは天候・戦略・オーバーテイクなど、レースを決定づけた主要局面を振り返る。オープニングラップ:フェルスタッペンがリード、ルクレールが好発進気温34度、路面温度45度という過酷なコンディションの中でスタートが切られた。ポールポジションのマックス・フェルスタッペンがリードを守り、シャルル・ルクレールがターン1で見事な立ち上がりを決め、ランド・ノリスを抜いて2番手に浮上。フェルスタッペンは早くも1周目で1秒以上のギャップを築き、クリーンエアの恩恵を受ける展開に。後方では、13番手スタートの角田裕毅(レッドブル)が絶好のスタートを決め、オープニングラップで10位圏内に浮上した。7周目:サインツとアントネッリが接触、VSC発動序盤に最初の波乱。カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)がターン15でアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)に仕掛けるも接触。サインツはそのままスピンアウトしリタイア、アントネッリは最後尾まで後退した。この接触によりバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入され、各車はタイヤ温度の管理に苦しんだ。このアクシデントはレース後に審議対象となった。中盤戦:ルクレールvsノリス、激しい2位争いVSC解除後、注目を集めたのは2位争い。ルクレールはソフトタイヤで粘るも、ノリスのマクラーレンが中盤以降に急接近。何度もサイド・バイ・サイドの攻防を繰り広げ、ターン12〜19では手に汗握るバトルを展開した。フェルスタッペンはその背後で冷静にペースをコントロールし、最大で7秒のリードを築く。一方、ピアストリ(マクラーレン)はペースが上がらず、フェラーリ勢やメルセデス勢に追われる形で5位走行。角田裕毅はこの時点で7位前後につけ、オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)とのバトルを制してポイント圏を確実に狙える位置へ。ピットウィンドウ:一斉交換、フェルスタッペンが主導権維持25周目前後、各チームがタイヤ交換に動く。ルクレールはソフトを履き続けた分、早めのピットインを選択しミディアムへ。ノリスはやや引っ張ってからソフトに交換。フェルスタッペンは冷静に32周目でピットイン、2.6秒の安定した作業でトップを維持した。この段階でトップ3の順位は変わらず、フェルスタッペン、ルクレール、ノリスの順。終盤:ノリスがルクレールを攻略、フェルスタッペンが独走へ51周目、ついにノリスがターン12でルクレールを抜き、2位に浮上。ルクレールはソフト→ミディアムの一貫戦略で善戦したが、マクラーレンのペースには及ばず。フェルスタッペンはその間も淡々とラップを刻み、終盤はタイヤを温存しながら8秒差を保ってチェッカーを受けた。ラッセル(メルセデス)は6位、ヒュルケンベルグ(ザウバー)は8位と堅実な走りを見せた。角田裕毅、13番手から7位入賞角田裕毅はスタート直後から果敢なオーバーテイクを重ね、レース中盤ではベアマンを抑え込みながらも安定したペースを維持。終盤はヒュルケンベルグとの差をコントロールし、7位でフィニッシュ。レッドブル・レーシングはフェルスタッペンと角田のダブル入賞で、チームとして理想的な結果を得た。ポイント圏外:ローソンが惜しくも11位、ストロールが12位レーシングブルズ勢は、リアム・ローソンが11位、アイザック・ハジャーが16位。ローソンは最後まで入賞圏を狙ったが、あと一歩届かず。アストンマーティンのランス・ストロールは12位、フェルナンド・アロンソは10位で1ポイントを獲得。メルセデスのアントネッリは13位まで挽回、アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)は14位、エステバン・オコン(ハースF1チーム)は15位で完走した。アルピーヌ勢はフランコ・コラピントが17位、ピエール・ガスリーが18位と厳しい一戦となり、ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)は19位でチェッカーを受けた。唯一のリタイアはカルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)だった。■ 2025年F1 アメリカGP 決勝 結果1.マックス・フェルスタッペン(レッドブル)2.ランド・ノリス(マクラーレン)3.シャルル・ルクレール(フェラーリ)4.ルイス・ハミルトン(フェラーリ)5.オスカー・ピアストリ(マクラーレン)6.ジョージ・ラッセル(メルセデス)7.角田裕毅(レッドブル)8.ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)9.オリバー・ベアマン(ハース)10.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)11.リアム・ローソン(レーシングブルズ)12.ランス・ストロール(アストンマーティン)13.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)14.アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)15.エステバン・オコン(ハース)16.アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)17.フランコ・コラピント(アルピーヌ)18.ピエール・ガスリー(アルピーヌ)19.ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)DNF.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)トップ3ドライバー コメントマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)「信じられない週末だった。レースは簡単じゃなかったけど、ランドとのペースはすごく接近していた。第1スティントで少し差を広げられたのが勝因だったと思う。最後までタイヤをケアしながら走りきった」ランド・ノリス(マクラーレン)「時間はかかったけど、すごくいいバトルだった。シャルルは本当にいい走りをしていたし、楽しかった。2位が精一杯だったけど、今日できることはすべてやった」シャルル・ルクレール(フェラーリ)「スタート時にトップ10で唯一ソフトを履いていたから少し心配だった。リスクのある選択だったけど、序盤で空気のきれいなところを走るためにトライした。すごく楽しいレースだったし、久々の表彰台を楽しめた」