ルノー・グループCEOのフランソワ・プロボは、クリスチャン・ホーナーがアルピーヌF1チームに関与するとの憶測を否定し、同時にルノーが今後もチームの支配権を維持する方針であることを強調した。この発言は、アルピーヌF1チームの少数株主であるオトロ・キャピタルの24%保有株を巡る不透明な状況が続くなかで飛び出したものだ。
ホーナーによるアルピーヌ参画説が浮上クリスチャン・ホーナーは昨シーズン、レッドブルのチーム代表兼CEOとしての職務を解かれ、20年に及ぶF1キャリアに一区切りをつけた。その後、推定1億ドル規模とも報じられる和解金とともに2025年9月に正式退任し、現在はF1パドック復帰への障害はなくなっている。ホーナーは以前からF1に「やり残した仕事がある」と語っており、その復帰先としてアルピーヌの名前が浮上していた。背景にあったのは、オトロ・キャピタルが保有するアルピーヌF1チームの24%株式だ。ホーナーがこの持ち分の取得に向けて入札したと報じられたことで、アルピーヌへの関与説が急速に広がった。しかし、PlanetF1.comが今年報じたところによると、英国で提出された企業関連書類から、オトロ・キャピタルは2026年9月まで保有株を自由に譲渡できないことが判明している。また、それまでルノー側が取引に対する承認権を有しているとみられている。「クリスチャンとの話し合いはない」そうしたなか、プロボはPA通信に対してホーナーとの交渉を明確に否定した。「現時点でクリスチャンとの話し合いはない」さらに、オトロ・キャピタルの後継投資家探しは続いているものの、ルノーが主導権を手放す考えはないと強調した。「われわれは選択肢を評価しているところだ」「オトロの後継が誰であれ、ルノー・グループがチームの支配権を維持したいと考えている」現在ルノーはアルピーヌF1チームの76%を保有しており、仮にオトロの持ち分が売却されたとしても経営権が移ることはない。プロボは次のようにも説明した。「この件については2つ申し上げたい」「まず第一に、このオトロの問題はチームにまったく影響していない。なぜならわれわれが支配権を持っているからだ」「そして第二に、われわれはF1チームの支配権を維持し続ける。アルピーヌは独立したチームであり、われわれはその支配権を維持するつもりだ」メルセデスとの交渉も停滞プロボの発言は、メルセデスが買収競争から事実上離脱したとの報道が伝えられた直後に行われた。メルセデスはオトロ・キャピタルの24%株式取得を検討していたが、関係者によると、提示された企業価値評価がメルセデスの見積もりと一致せず、交渉は終了したという。プロボも進展が止まっていることを認めた。「現在はメルセデスとのさらなる協議は行われていないと認識している」そして率直な心境も明かした。「交渉が前進していないことには満足していない」こうした状況のなかでホーナーの名前が繰り返し取り沙汰されていたが、ルノー首脳自らが否定したことで、アルピーヌ復帰説は大きく後退した格好だ。ホーナーの関心はBYDへ一方で、ホーナーのF1復帰計画そのものが消えたわけではない。現在、ホーナーの関心は中国のEV・ハイブリッド車大手BYDに向いているとされる。BYDはF1のステファノ・ドメニカリCEOと、第12のF1チームとして参戦する可能性について協議を行ったと報じられている。ホーナーはカンヌでBYD副社長のステラ・リーと複数回にわたり会談したとされ、BYDが公開した映像には、同社主催の「Cannes Night」に出席するホーナーの姿も映っていた。元レッドブル幹部のリチャード・ホプキンスは、ホーナーが求めているのは単なるチーム代表職ではなく、出資比率と経営権を伴う立場だと分析する。「グリッド全体を見渡しても、ローレンス・ストロールがチームを売却する気があるとは思えないし、他のチームもかなり安定している」「だからアルピーヌへの道が閉ざされたなら、BYDがおそらく唯一残された選択肢だろう」「クリスチャンは単にチーム代表へ戻ることには興味がないと思う。その考え方はすでに変わっている。しかし今後どうなるか見てみよう」アルピーヌとの関与説がルノー首脳によって否定されたことで、ホーナーの次なるF1挑戦の舞台はBYDによる新規参入プロジェクトへと移りつつある。今後、BYDが本格的なF1参戦計画を進めるのか、そしてその中心にホーナーが立つのかが注目される。