ルノー・グループの新CEOに就任したフランソワ・プルヴォが、F1プロジェクトの継続を初めて公に認めたことで、アルピーヌF1チームの将来をめぐる不確実性に終止符が打たれた。6月にルカ・デ・メオ前CEOが辞任して以降、ルノーがF1事業から撤退し、チーム・エンストンを売却するのではないかとの憶測が飛び交っていた。すでに2026年の新F1レギュレーションを前にワークスチームの地位を放棄し、メルセデス製パワーユニットのカスタマーとなる契約を結んでいたことも、その疑念に拍車をかけていた。
この決断は極めて異例だったが、近年中団に低迷してきたアルピーヌにとって、競争力を高める最善の手段とされた。特に2000年代半ば、フェルナンド・アロンソの活躍でチャンピオンに輝いて以来、輝かしい成果からは遠ざかっていた。しかし、プルヴォは2025年上半期の業績発表会見で、F1残留を明言。英『Autocar』によれば、彼は「アルピーヌはF1に残る」と断言したという。これにより、近年幾度となく体制変更が繰り返されてきたチームに、一定の安定と将来の保証がもたらされたことになる。2021年のアルピーヌへのリブランド以降、チーム代表の交代や著名人の出入りが相次いできた。昨シーズンには、かつてベネトン時代とルノー時代にチームをチャンピオンに導いたフラビオ・ブリアトーレが復帰。今季途中にオリ・オークスが辞任した後は、事実上のチーム代表として指揮を執ってきた。今後はプルヴォCEOの直属の部下として、その責任を負うことになる。2025年シーズン第13戦終了時点で、アルピーヌはコンストラクターズランキング最下位に沈んでおり、獲得ポイントはわずか20。9位のハースとは15点差がついている。今回の残留決定により、再建への道筋がようやく見えてきた形だ。