アルピーヌF1チームのリザーブドライバーであるポール・アロンが、2025年F1シーズン中の2戦でサウバーからフリー走行1回目(FP1)に出走することが正式発表された。サウバーとアルピーヌF1チームの間で合意が成立し、ポール・アロンはイギリスGP(シルバーストン)およびハンガリーGP(ハンガロリンク)にて、ニコ・ヒュルケンベルグに代わってマシンをドライブする。
これはFIA(国際自動車連盟)の規定により各チームに義務付けられている年間2回のルーキードライバーによるFP1出走枠の消化の一環で、サウバーはこの2回分の枠をポール・アロンに託す形となる。サウバーではすでにガブリエル・ボルトレロが2回のルーキー枠を消化済みであり、これで全4回の出走義務を満たすことになる。エストニア出身で現在21歳のポール・アロンは、2023年F2選手権で上位を争った有力ドライバーで、昨年12月にアルピーヌF1チームのリザーブドライバーとして加入して以降、同チームの2025年および2026年型マシン開発において重要な役割を果たしてきた。ドライバー・イン・ループ・シミュレーターへの貢献に加え、2023年仕様のA523でのTPC(Testing of Previous Cars)プログラムでは6日間の実走行テストも行っている。また、昨シーズン末のアブダビで開催されたヤングドライバーテストでは、A524で初めてF1マシンをドライブし、アルピーヌでのキャリアの第一歩を踏み出していた。今回の合意により、ポール・アロンはサウバーC45での実戦デビューを果たすとともに、残るアルピーヌ側のルーキーFP1枠3回分についても引き続き担当予定であり、その具体的な日程は後日発表される見通し。ポール・アロンは「F1で貴重な走行機会を得られることをとても嬉しく思う。この合意を成立させてくれたBWTアルピーヌF1チームに感謝している」とコメント。「F1にフル参戦することが僕の目標であることは周知の通りであり、このような競争環境の中で走れるチャンスは重要なステップだ。アルピーヌでの成長に引き続き集中しながら、ステークF1チーム・キック・サウバーとの2回のセッションでも全力を尽くしたい。シルバーストンとブダペストでの走行を心から楽しみにしている」アルピーヌF1チームの事実上のチーム代表を務めるフラビオ・ブリアトーレも次のようにコメントしている。「我々としても若手ドライバーにできる限り多くの走行機会を与えることが重要だと考えており、ポールがシルバーストンとブダペストでFP1を走行するためにサウバーと合意できたことは良いことだ。今季は昨年のF2ドライバーたちがグリッド上でさまざまな成功を収めているが、ポールもそのカテゴリーで上位争いをしていた実力者だ。今回の出走は彼とチームの成長をさらに後押しする機会であり、彼にとっても貴重なトラックタイムになる」一方で、アルピーヌは当面、ピエール・ガスリーのチームメイトとしてフランコ・コラピントを起用し続ける見通しだが、ブリアトーレは「もっとパフォーマンスを上げる必要がある」と明言しており、チーム内には緊張感も漂っている。さらに噂レベルではあるものの、メルセデスのリザーブであり、通算10勝を挙げているバルテリ・ボッタスがコラピントの後任候補として浮上しているとの報道もある。コラピントの成績次第では、今後のドライバーラインアップに動きがある可能性も否定できない情勢だ。
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