レッドブルが角田裕毅の将来に関して決断を先延ばしにしている状況について、フアン・パブロ・モントーヤはレッドブル内部の政治的要素が影響していると語った。序盤わずか2戦でリアム・ローソンに代わり角田裕毅がレッドブルへ昇格した時点で、彼がシーズン末に向けて正念場を迎えることは明らかだった。ローソンが十分に実力を示す時間が与えられなかった一方、角田裕毅にはフロントランナーのマシンで19戦の機会が与えられた。
しかし、レッドブルは現在も2022年から続くマシン哲学を維持しており、その中で角田裕毅が“同じツール”を得られていないと認めている。この点がパフォーマンスに影響している可能性が示唆されている。近戦では改善を見せているものの、依然として安定性は課題のままだ。角田裕毅を巡るレッドブルF1の迷走とモントーヤの見解一方で、レーシングブルズにおけるハジャーのルーキーとしての活躍が光り、角田裕毅はファエンツァへ戻る、あるいはF1シートを失う可能性すらある。モントーヤは自身のポッドキャスト「MontoyAS」で次のように語った。「政治による小さなチャンスがあると思う。ここで深くは話したくないが、話は白黒はっきりしていない。こう言えば十分だろう。もし決断をヘルムートがしていたら、角田が残れる確率は90%で“ない”。」「だが今は状況が少し変わってきている。今はより政治的なんだ。レッドブル・オーストリアは、チームで起こることをより管理したいように見える。」「だから決断の下し方や物事の進み方が少し変わるだろう。特に3つのシートがあるからだ。」「リンドブラッドは確実に昇格する。残るのは角田が去るのか、ローソンが去るのか。その2択が理論上のプランだ。」モントーヤは、ホンダ・レーシングの渡辺康治社長が角田裕毅の立場に関してレッドブルと話す意向を示した点にも触れ、ホンダが依然として重要な役割を持っていることを示唆した。パワーユニット供給は2025年で終了するものの、ホンダはレッドブルの成功に大きく貢献してきた。さらにモントーヤは角田裕毅の評価について、次のように述べている。「ローソンができたこと、そしてこれまでレッドブルのマシンに乗った全員ができたことと比べれば、角田は良い仕事をしている。理想的ではないが、彼は改善している。だからもう1年与えれば、物事を整えていけると思う。」「だから彼を外すのは論理的ではない。そしてローソンもハジャーもポイントを取っている。」リンドブラッド昇格のためにレーシングブルズ側で調整すべきではないかという質問について、モントーヤは次のように答えた。「ヘルムートが100%決められない状況では、すべては明確ではない。」「外から見れば、ヘルムートを外して4人の結果だけを見ると、全員が残るに値する。」「ただ、政治が多い。角田にはレッドブル内に強力な政治的つながりがあり、それが彼を守る可能性がある。」「そして他の全員にもまだチャンスがある。もし誰かを外すなら、おそらく角田だ。」レッドブルF1の意思決定が“政治化”しつつある現実モントーヤの発言から浮かび上がるのは、レッドブルにおける意思決定構造がすでに転換点を迎えているという事実である。従来のようにヘルムート・マルコがすべてを決める体制ではなくなり、オーストリア本社の経営判断がより強くドライバー選定に関与している。この変化は、成績だけでは決まらない“政治的シート争い”の時代に入ったことを意味している。特に角田裕毅の去就は、純粋なパフォーマンスだけでなく、ホンダとの関係、マーケティング価値、将来のブランド戦略など複数の要素を踏まえて判断される段階に入っている。リンドブラッド昇格が既定路線になったことで枠組みはさらに複雑化し、残された3席を巡る争いは、角田裕毅、リアム・ローソン、アイザック・ハジャーの実力だけでなく、チームの政治的事情や本社方針の影響も受けざるを得ない構造となった。一方で、ホンダ・レーシングの後ろ盾は角田裕毅にとって依然として重要な支えとなる。しかしそれでも最終的な評価は成績が伴ってこそ意味を持つ。ローソンとハジャーが終盤に結果を重ねれば重ねるほど、角田裕毅にも安定した力を示す必要性が増していく。最終的に角田裕毅の2026年の行き先は、ホンダ・レーシングの存在、レッドブル本社の意図、若手2人の終盤戦でのパフォーマンス、そして自身の結果が折り重なる形で決まっていく。チームが判断を急がない一方で、角田裕毅にとっては一戦一戦がキャリアを左右する緊張感に満ちた時間となる。