レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースは、2026年シーズンのドライバーラインナップについて「最終決定は今季最終戦アブダビGPの前に行う」と明言した。これにより、角田裕毅の去就をめぐる不透明な状況にも、シーズン終了前に一定の結論が出る見通しとなった。今季ここまでチームは決定を先送りしており、その背景にはレーシングブルズのルーキー、アイザック・ハジャーの急成長がある。
ハジャーは8月のオランダGPで初表彰台を獲得し、来季マックス・フェルスタッペンのチームメイトに昇格する可能性が高いと報じられている。アブダビGP前に最終決定、「焦る理由はない」メキースはメキシコGP後に取材に応じ、チーム内での議論が続いていることを認めた上で「決定はアブダビGPより前に行う」と明言した。「(12月7日の)アブダビGP後ではなく、その前に決める」とメキースは語り、今季中にすべての関係者に進路を明確にする意向を示した。決定が遅れている理由については「現状のシーズンに集中するため」と説明しつつ、次のように続けた。「今シーズンに集中したいという要素もあるが、それ以上に重要なのは、関係するドライバーたちに早めに立場を伝えることだ。われわれには選択の自由があり、焦る必要はない。状況をすべて見極めた上で最良の決定を下す」角田裕毅の奮闘、「ステップアップしている」角田裕毅はメキシコGPで11位に終わったが、直近5戦のうち3戦で入賞しており、メキースは「ここ数戦の進歩が決定を遅らせている要因のひとつ」と語る。「メキシコでは久しぶりに非常に強い週末だった。予選ではマックスとの差が0.2秒で、決勝でも第1スティントでは同じミディアムで2〜3コンマ(0.2〜0.3秒)差の強力なペースを見せた」「その後の展開は我々の戦略側の要因だった。彼を少し長く引っ張りすぎた上、ピットストップもやや遅れて、彼が本来取れたはずのポイントを逃してしまった。だからこそ、もう少し時間をかけて正しい判断をしたい」メキースは続けて「裕毅は確実にステップアップしている。他の若手たちも伸びている。だからこそ急ぐ理由はない」と述べ、冷静な判断を強調した。アストンマーティンの動きと角田裕毅の選択肢一方、アストンマーティンはホンダ系ジュニアのジェイク・クロフォードを2026年の第3ドライバーとして起用することを発表した。このポジションは一時期、角田裕毅の潜在的な去就先として噂されていたが、事実上その可能性は消えた格好だ。角田裕毅はホンダとの関係を維持しているものの、レッドブル・レーシングおよびレーシングブルズの決定次第では、F1シートを失うリスクも残る。現時点で最も危うい立場にあると報じられているのはリアム・ローソンとされるが、最終判断はアブダビGP前にすべて明らかになる。分析:角田裕毅の“踏みとどまり”はメキースの目にどう映るかメキースの発言から読み取れるのは、角田裕毅の近況を高く評価しつつも、決定の鍵を「比較の中での成長度」に置いている点だ。つまり、角田裕毅がどれだけ改善しても、ハジャーやリンドブラッドの伸びがそれを上回れば、構図は変わらない。ただし、メキースが「最終戦前に決定する」と明言したことは、チーム内での議論が最終段階に入ったことを示す。角田裕毅にとっては、残る3戦すべてが“残留査定”の場であり、レースごとに自らの価値を証明する戦いとなる。焦点は、フェルスタッペンとの差をどれだけ縮め、戦略ミスに左右されずに「自力で結果を取り戻せる走り」を見せられるかだ。2025年の終盤戦は、角田裕毅のキャリアにとって最も重要な3戦となる。
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