レッドブルの角田裕毅が、F1シンガポールGP予選で思わぬトラブルに見舞われた。予選中の無線で「ドリンクが止まらない…溺れそうだ!」と悲鳴を上げ、マシン内の飲料システム不具合が発覚した。FP3から続いていた問題は修復できず、角田裕毅はQ2敗退に終わり15番手に沈んだ。原因不明のグリップ不足も重なり、2026年の去就が注目される中で苦しい週末となった。
角田裕毅はシンガポールのマリーナベイ・ストリート・サーキットで行われた予選で、RB21のフィーリングに自信を持てず苦戦した。「とにかくグリップがなかった。それだけです」と語り、セッション全体を通してマシンのバランスをつかみ切れなかったことを明かした。さらに角田裕毅を悩ませたのは、予選中に発生した飲料システムの不具合だった。FP3から続いていたトラブルが再発し、無線では「ドリンクシステムがひどい。溺れそうだ!」と声を荒らげた。「水がずっと出続けてたんです。前からあった問題で、改善しようと試したけど、あまりうまくいかなかった」と予選後に説明している。角田裕毅は最終的にQ2で敗退し、15番手という悔しい結果に終わった。「明日は新しい一日ですし、ポイントを取るためにベストを尽くします。アゼルバイジャンではいい結果を出せたけど、今回はあまり良くなかったですね」と前を向いた。4月の日本GPからリアム・ローソンに代わってレッドブルに昇格した角田裕毅だが、今季ここまでの15戦でわずか17ポイントにとどまっている。対照的に、チームメイトのマックス・フェルスタッペンは4勝・255ポイントを記録し、低迷期を経て再びタイトル争いに加わっている。RB21は今季を通して安定感に欠け、特に5月のモナコから8月のハンガリーまでは角田裕毅が一度もポイントを獲得できないなど苦戦が続いた。しかし直近ではマックス・フェルスタッペンが2連勝を飾り、マシンのパフォーマンスは上向き。そんな中で角田裕毅にも結果が求められている。7月にはマックス・フェルスタッペンの2026年残留が発表されたが、もう1つのレッドブルのシートは依然として未定のままだ。最有力候補と目されるのは、レーシングブルズのアイザック・ハジャーだ。21歳のフランス人ドライバーはオランダGPで表彰台を獲得するなど勢いがあり、現在ランキング9位(39ポイント)につけている。レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、2026年の新レギュレーションを前にドライバー変更の可能性を示唆している。「今のグラウンドエフェクトカーは特殊だし、2026年にはまったく新しいタイプのマシンになる。エネルギー回生システムをうまく使うためには頭を使う必要がある。だからドライバーを動かすにはいい時期だ」と語った。一方、レーシングブルズのシートも2つとも未定で、角田裕毅、アイザック・ハジャー、リアム・ローソンの3人が決断を待っている。さらにF2では、アービッド・リンドブラッドが今季すでに2勝を挙げ、イギリスGPではFP1にも出走。ヘルムート・マルコは、マクラーレンのジュニア育成を離脱したアレックス・ダンにも関心を持っていると明かしている。角田裕毅にとってシンガポールは、マシンの信頼性と自らの安定感の両方を立て直す重要な一戦だった。トラブルに苦しみながらも諦めず走り抜いた姿勢は、次戦以降への再起の兆しとなるかもしれない。
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