角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ)とランド・ノリス(マクラーレン)は、F1アゼルバイジャンGPの予選でタイヤのギャンブルを行ったため、土曜日のF1スプリント・シュートアウトのSQ3に参加することはできない。今週、スプリントのフォーマットが微調整され、ドライバーはSQ1でミディアム、SQ2でミディアム、SQ3でソフトの新品タイヤをそれぞれ1セットずつ使用することになっている。
しかし、この新しいスプリント形式のレギュレーションに抜け穴が生じた。FIAは、すべてのチームが土曜日に使用するためにこれら3つの新品セットを残りしておくことを意図していた。だが、このルールの文言には抜け穴があり、週末に早くタイヤを使いたいチームは、タイヤを残す必要がないと解釈できる。該当の条文には「スプリントシュートアウトのSQ3のピリオドでは、ドライウェザータイヤが1セットまで使用でき(up to one set of dry-weather tyres may be used)、これはソフト仕様の新しいセットに限る」とある。この“may(かもしれない)”という言葉の存在は、SQ3に出場することをおそらく予期していなかったチームが、戦略的な目的のために週末の早い段階でそのソフトタイヤのセットを使い切る機会を残した。ランド・ノリスは、予選でQ1を7位、Q2を6位で通過した。そしてQ3では、最後の6セット目のソフトタイヤで7番手となり、日曜日の決勝グリッドを獲得した。つまり、最初の2セッションで必須のミディアムタイヤを装着した後、土曜日にSQ3まで到達した場合、ルール上、ノリスは参加することができなくなる。代わりに、彼はガレージに座って10位を受け入れる必要がある。しかし、ソフトタイヤを使い切るという戦略は、金曜日のQ3セッションで明らかに役に立ち、日曜日のメインイベントでその成果を発揮する可能性がある。「グランプリの予選結果を最大化するための意識的な戦略的決定だった」とマクラーレンのスポークスマンは語った。「日曜日にはもっと多くのポイントが得られるので、より重要なレースとして優先順位をつけた」角田裕毅はランド・ノリスとまったく同じ状況にあり、彼もまたソフトタイヤをすべて使ったが、その方法は少し違っていた。アルファタウリの両ドライバーは、FP1でソフトタイヤを1セット追加して使用した。これは、後の予選に備えるためだった。だが、角田裕毅はウォールに接触してパンクし、1セット目を失った。この策略は、Q1 の最初のラップでクラッシュしたニック・デ・フリースにとってはうまくいかなかったが、角田裕毅は周到な準備を重ね、1回目のセッションで10位、そしてQ2で6セット目を投入して7位となりQ3に進んだ。そして、Q3ではユーズドのタイヤで8番手タイムを記録して、日曜日のグリッドを決めた。すべてのソフトタイヤを使い果たしたことで、角田裕毅も土曜日のスプリント・シュートアウトに向けて新しいセットは残っていないことになる。アルファタウリのチーフレースエンジニアであるジョナサン・エドールズは「複数の空力コンポーネントを持ち込んだが、これまでのレースから判断して、Q3に進出できる力はないと予想していた」「そのため、決勝をなるべく上位グリッドからスタートしてより多くのポイントを獲得できるように、FP1で予選に向けた準備を進めることにした」「両ドライバーはFP1でソフトとミディアムを1セットずつ使用した。裕毅は最初のセットでウォールに接触し、リムを損傷してパンクしてしまいましたので、そのランを捨てる判断を下しました。幸運なことに同時に赤旗が出されたためタイムをそこまで失わずに済みましたが、残りのセッションを不利な形で過ごすことになりました」「FP1を予選に向けた準備に使うことのデメリットはQ3で新品タイヤが残らないことだったが、裕毅はユーズドで素晴らしいラップを披露して決勝8番グリッドを手に入れた」角田裕毅は、タイヤが彼のパフォーマンスの重要な要素であると強調した。「本当にトリッキーなトラックでした。特にタイヤもトリッキーでした」と角田裕毅は語った。「ご覧のように、ほとんどのドライバーはブレーキングに苦戦していました。特に最初のセクターでは、フロントタイヤがあまり暖かくなく、十分な準備ができていませんでした」「僕たちはタイヤを温めるためにできる限りのことはしていますが、かなり苦戦しています。だから、タイヤのウォームアップが本当に重要でした」