FIAが2026年から導入したADUO(追加開発機会制度)の初回評価で、レッドブル・フォードのV6エンジンがグリッド最強と認定されたことが話題となっている。この結果に驚きの声も上がるなか、ウィリアムズF1代表のジェームス・ボウルズは「驚きではなかった」と語り、制度そのものについても支持を表明した。
ボウルズ「レッドブルは開幕前から印象的だった」ADUOは、性能面で後れを取るパワーユニット(PU)メーカーに追加開発の機会を与えるためにFIAが導入した制度だ。初回評価ではレッドブル・フォードのV6エンジンが最も高い性能を持つと判断され、メルセデスに対して2%以上、フェラーリに対して4%以上の優位性があるとされた。一方、アウディとホンダの正確な差は現在も精査が続いている。シーズン序盤はメルセデス勢が圧倒的な強さを見せていることから、この結果を意外視する声もあった。しかし、ボウルズはそうは考えていない。「驚きはなかった」「バーレーンテストの時点で、レッドブルが最もパワフルなエンジンを持っているように見えた。彼らは僕たちにはできないようなことをやっていたからだ」「プレシーズンテストから本当に印象的だった。すべてのサーキットで常にというわけではないが、シーズン開幕から非常に強力だった」「それが1%なのか2%なのかは外から正確に判断するのは難しい」最強エンジンと最強PUは別問題ボウルズは、今回の評価結果を理解するためにはV6エンジンとPU全体を分けて考える必要があると説明する。ADUOが評価しているのは内燃エンジン部分のみであり、ハイブリッドシステム全体の性能を示すものではない。「重要なのは2つの要素があるということだ。内燃エンジンと電気システムだ」「ADUOが対象としているのは内燃エンジンだけだ」「電気系についてはメルセデスが非常に良い仕事をしていると思う。だから僕たちは他メーカーよりも長くエネルギーを展開できている可能性がある」今季のF1ではメルセデスが選手権をリードしているが、その背景には電動システムやエネルギーマネジメントの優位性があるとボウルズは見ている。レーシングブルズとの比較で見えた差ボウルズがレッドブル・フォードの優位性を感じた理由のひとつが、同じ中団グループで争うレーシングブルズとの比較だ。ウィリアムズはメルセデスPUを搭載し、レーシングブルズはレッドブル・フォード系PUを使用している。「データを見て最初に驚いたのは、レッドブル陣営のほうがメルセデスよりも電力カットが少なかったことだ」「それがヒントになった。優位性は電気系ではなく内燃エンジン側から来ているのだと思った」「僕はVCARB(レーシングブルズ)と戦っている立場だが、その部分で少し差があると感じている」現在のF1ではバッテリーエネルギーを使い切った後の出力低下が大きな影響を与えるため、内燃エンジン性能の差はストレートスピードやレースペースにも直結する。ボウルズはADUO制度を高く評価今後はメルセデス、フェラーリ、ホンダ、アウディが追加開発によって性能差を縮められる可能性がある。もっとも、開発から実戦投入までには時間がかかり、さらに年間4基に制限されるV6エンジンの運用ルールもあるため、即効性は期待できない。それでもボウルズは制度の存在自体を歓迎している。「メルセデスHPPがシーズン後半に性能向上を実現できれば、大きな違いになるだろう」「フェラーリやホンダにとっても、この制度は選手権のために良いものだと思う」「本当にチャンピオンシップを戦わせたいのであれば、すべてのメーカーに戦うチャンスを与えるべきだ」「ホンダも復帰に向けて非常に大きな投資をしている」「現状では完全に理にかなっていると思うし、正しい考え方だ。知的にも合理的なアプローチだと思う」ADUOが示した2026年PU勢力図今回のボウルズの発言は、レッドブル・フォードがV6エンジン単体で優位に立ちながらも、メルセデスが電動システムやエネルギーマネジメントで強みを発揮しているという現在の勢力図を裏付けるものとなった。FIAによる追加検証が進められているものの、少なくともボウルズはプレシーズンからのデータを踏まえ、レッドブル・フォードが基準値と評価されたことに違和感は抱いていない。そして何より、各メーカーが開発によって差を縮められるADUO制度こそが、将来的により接戦のチャンピオンシップを実現するための重要な仕組みだと考えている。
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