バーレーンで再開された2026年F1プレシーズンテストのパドックでは、メルセデス製パワーユニットを巡る圧縮比論争が大きな火種となっている。ライバル勢がFIAに対して測定方法の見直しを求める中、ウィリアムズのチーム代表ジェームス・ボウルズが最も強硬な擁護者として前面に立った。議論の中心は16対1と定められた圧縮比の上限だ。ライバル勢は、静的テストでは規則を満たしているものの、実走行下ではより高い数値に達しているのではないかと疑念を示している。
しかしボウルズは、その主張を真っ向から否定した。「我々のマシンに搭載されているパワーユニットは、レギュレーションに完全に準拠している」とボウルズは語った。「このレベルのパワーユニットを生み出すには、1か月ではなく数年単位の仕事が必要だ」「このスポーツはBoP(Balance of Performance:性能調整)シリーズであってはならない。最高のエンジニアリング成果が報われる“実力主義”であるべきで、罰せられるべきではない」ボウルズは、対立陣営の反発を単なる不満の表れだと切り捨てた。「他チームが腹を立てているのは間違いないだろう。メルセデスが成し遂げたことを達成できなかったからだ」「だが現時点で、ピットレーンにいる誰もが“どのPUが最良か”を断言できるわけではない。我々はその一部だけを見ているにすぎない」また、FIAがシーズン直前に測定手法を変更することの危険性にも言及した。「まず新たなレギュレーションを作らなければならない。そして走行条件下でPUをどうやってテストするのか。幸運を祈るしかない」「圧縮比を知っている者なら分かるが、本来は常温状態で測定するものだ」さらに、仮に規則変更が遡及的に適用された場合の影響についても警鐘を鳴らした。「仮に将来の規則変更に適合しないと判断されたらどうなるのか。現時点では誰も分からない」「もし違法とされた場合、8台がグリッドに並ばない事態になる。それが意味するところを、スポーツとして真剣に考える必要がある」ブラックリーで23年間を過ごしたボウルズは、メルセデスの技術力を熟知している。「私はキャリアのほとんどをメルセデスで過ごしてきた。ウィリアムズに加入した日に、このチームでメルセデスとの契約を再締結したのもそのためだ」「彼らはレギュレーション変更に非常に強い。規則を正確に読み取り、エンジニアリングの限界を押し広げる。それこそが今のPUの姿だ」一方で、FIAの立場にも一定の理解を示した。「FIAの仕事は非常に難しい。各チームには何百人もの人材がいて、規則をどう巧みに解釈できるかを常に考えている」「正直に言えば、それがチームの仕事であり、このスポーツを愛する理由でもある。20人ほどの担当者が、数千人規模の頭脳と向き合っているようなものだ」最後にボウルズは、政治的圧力に流されない判断を求めた。「FIAは一般的に、巧妙な解釈と許容範囲の境界を見極める良い仕事をしている」「重要なのは、他チームが思いつかなかった革新に対する政治的な動機で動かないことだ。FIAは正しい行動を取るべきだ」
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