ウィリアムズ・レーシングがこの20年間、F1ランキングで徐々に順位を落としてきた理由は、外部の人間には明らかではなかった。時代遅れのプロセスや内部投資不足という漠然とした話はあったが、具体的な例が示されたのは最近のことだ。それは、チーム代表のジェームス・ボウルズが長年にわたってマシン開発の大きな足かせとなってきたと語る、恐ろしいMicrosoft Excelスプレッドシートである。
ボウルズはThe Raceに対し、2023年初頭にチームに加入した際、チーム内部のプロセスが惨事であることに気づいたと語った。チーム全体のクルマ作りのプロセスは非常に非効率的で、たとえ設計が順調に進んだとしても、パーツ管理が無秩序だったため、2024年のマシンはテストまでわずか3週間という時点でパーツの山に過ぎなかったという。その原因のいくつかは、ウィリアムズがエクセルのスプレッドシートという怪物で在庫を管理していたことにあった。ボウルズとテクニカルディレクターのパット・フライが語ったところによると、ウィリアムズはマシンに使用される約2万点のパーツを含むスプレッドシートを使用していたという。ウィリアムズはもう何年もこのようなスプレッドシートに頼っているようで、2024年型マシンの初期段階でもそうだった。このシステムは素人的でナビゲートしにくいだけでなく(F1という数億ドル規模のスポーツには不向き)、重要なロジスティクス情報が決定的に欠けていた。チームには、パーツのコストや製造期間、さらにはパーツの数や保管場所まで追跡できる中央リソースがなかったという。そのため、製造スタッフは、保管場所が記録されていないパーツを探さなければならず、貴重な時間を浪費していた。「エクセルのリストは冗談のようなものだった。ナビゲートも更新も不可能だ」とボウルズは、ウィリアムズの400ピースのフロントウイングを例に挙げながら、The Raceに語った。「独立したコンポーネントの1つ1つがどこにあるのか、完成までにどれくらいの時間がかかるのか、検査に入るまでにどれくらいの時間がかかるのかを知る必要がある。検査で何か問題があれば、もう一度やり直す必要があるかどうか。そして、現代のF1がそうであるように、ひとたびそのレベルの複雑さを持ち始めると、エクセルのスプレッドシートは破綻し、人間も破綻する。それがまさに我々の状況だ」このような複雑な部品データベースが、2019年のプレシーズンテストにチームが遅刻する一因となった可能性がある。また、ウィリアムズのシーズン中の展開の弱さにも一役買っており、2023年半ばのチームのアップグレード費用は「異常」なレベルまで膨れ上がったらしい。しかし、この問題やウィリアムズのその他の手続き上の失敗は、チームの競争力回復を目的とした包括的な「技術基盤」のオーバーホールの一環として是正されようとしている。もちろん、ウィリアムズは一刻も早くトップグリッドに戻りたいだろうが、それには時間がかかる。そして、まだあちこちにエクセルのスプレッドシートが残っているかもしれない。2024年シーズン、ウィリアムズは開幕までにスペアパーツを製造できないという状況に陥り、第3戦オーストラリアGPでは、アレクサンダー・アルボンがマシンを大破させた結果、チームメイトのローガン・サージェントを欠場させて、サージェントのマシンでアルボンが参戦するという論争を呼ぶ決断を下した。だが、惨事はそれだけにとどまらず、第4戦日本GPでは、サージェントがFP1でクラッシュを喫してシャシー以外のほぼすべてのパーツ、特に新仕様のフロントウイングを失い、決勝ではアルボンがオープニングラップでのダニエル・リカルド(RB)との接触でクラッシュ。マシンがタイヤバリアに下に潜り込み、大きなダメージを負った。ちなみにアルボンが損傷させたシャシーはオーストラリアでサージェントから譲り受けたものであり、無傷のシャシーはなくなった。
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