アルピーヌは富士6時間レースでA424 LMDhによって初の世界耐久選手権(WEC)勝利を挙げた。シャルル・ミレシ、ポール=ルー・シャタン、フェルディナンド・ハプスブルクのトリオが、波乱含みのレースを制した。35号車は、3度のセーフティカーとさらに5度のフルコースイエローに中断されたレースを制し、最終的に#93プジョー9X8 2024 LMH(ミケル・イェンセン/ポール・ディ・レスタ/ジャン=エリック・ベルニュ組)に7.6秒差で勝利した。
ミレシは最終スティントのピットストップで3番手から首位に浮上した。プジョーと、2番手を走行していたポルシェ963 LMDh(ケビン・エストレ/ローレンス・バントール組)が4本タイヤ交換したのに対し、アルピーヌは2本のみを交換。これによりピットサイクル後には8秒近いリードを築き、最後の1時間で最大11秒まで差を広げた。アルピーヌにとっては2022年7月のモンツァ(ジャッドエンジン搭載A480 LMP1で勝利)以来となるWEC勝利であり、当初は勝者候補には見えなかった。序盤、ハプスブルクが#8トヨタGR010 HYBRID LMHのリアに接触してペナルティを受け、最初のピットストップでノーズ交換も余儀なくされた。しかし、レースの折り返し2時間半前に2度目のFCYが出される直前、シャタンが絶妙なタイミングでピットインできたことが流れを変えた。フィールドが80km/h制限で走行中にピット作業を済ませ、その後FCYがセーフティカーに切り替わったことで、アルピーヌは大きなアドバンテージを得た。再開後、シャタンはプジョーの背後につけたが、その後、ポルシェのエストレに先行を許す。しかしポルシェはピット作業違反で5秒加算ペナルティを科され、最終的に3位へ後退。バントールは最後までイェンセンのテールに張り付き、0.5秒差で3位チェッカーを受けた。ポルシェの2号車(マチュー・ジャミネ/ジュリアン・アンドロエ組)が4位に入り、マニュファクチャラーズタイトル争いをバーレーン最終戦に持ち込む結果となった。一方、フェラーリにとっては厳しい一日だった。依然としてマニュファクチャラーズとドライバーズの両選手権をリードしているものの、#51フェラーリ499P(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド組)は11位に終わり、1ポイントを加算するにとどまった。レース中のプロトン・ポルシェとの接触でダメージを負い、さらにトラックリミット違反で2度のペナルティを受けた。#94プジョーではストフェル・バンドーンが終盤に追い上げ、ロイック・デュバル/マルテ・ヤコブセンとともに5位フィニッシュ。アストンマーティンは#009ヴァルキリーLMH(マルコ・ソーレンセン/アレックス・リベラス組)が6位を確保した。キャデラックは#12号車(アレックス・リン/ウィル・スティーブンス/ノーマン・ナト組)が7位。序盤は2台でレースを支配していたが、最初のセーフティカーで流れを失い、その後の度重なるニュートラリゼーションで後退した。トヨタは#7 GR010 HYBRID LMH(小林可夢偉/ニック・デ・フリース/マイク・コンウェイ組)が8位、WRT BMW M Hybrid V8(ロビン・フラインス/ルネ・ラスト/シェルドン・ファン・デル・リンデ組)が9位となった。ル・マン24時間勝者の#83 AFコルセ・フェラーリ(ロバート・クビサ/イエ・イフェイ/フィル・ハンソン組)は10位に入り、ランキング首位の#51組との差をわずかに詰めた。LMGT3クラスはTFスポーツのシボレー・コルベットZ06 GT3.R(チャーリー・イーストウッド/ルイ・アンドラーデ/トム・ファン・ロンプイ組)が優勝。#21 AFフェラーリ296 GT3(アレッシオ・ロベラ/シモン・マン/フランソワ・エリオ組)が2位でチェッカーを受けたが、ピット作業違反で5秒加算となり、イーストウッドのコルベットが2秒差で繰り上がり勝利を収めた。
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