フォルクスワーゲンは、WRC(世界ラリー選手権)の第2戦ラリースウェーデンにポロR WRCで参戦し、セバスチャン・オジェがフォルクスワーゲンに記念すべきWRC初勝利をもたらした。2月7日(木)に開幕した「ラリースウェーデン」は、スウェーデンおよび隣国ノルウェーを舞台とする、全13戦中唯一のスノーラリー。道は雪に覆われ、各競技車両は氷雪路用のスパイクタイヤを装着して競技に挑む。
1950年に始まったこのラリーでは、スカンジナビア地域出身のドライバーが圧倒的な強さを見せており、これまで例外は2004年のセバスチャン・ローブただ一人という難易度の高いラリー。フォルクスワーゲンはこのラリーに、2台の「ポロR WRC」で出走。フィンランド人のヤリ‐マティ・ラトバラとフランス人のセバスチャン・オジェ選手の二人が挑戦した。7日の午前中に行われた予選では、セバスチャン・オジェがトップタイムを獲得し、翌8日(金)からの本格的な競技区間(スペシャルステージ、通称:SS)における出走順の選択権を手に入れた。グラベル(未舗装路)でのラリーは路面状況がタイムに影響する場合が多く、出走順によって有利不利があるため、2012年からラリーのスタート前に予選セッションを設け、タイムの良かったドライバーから好きな出走順を選択できる方法が採られている。セバスチャン・オジェは上位陣の最後尾となる17番手スタートを選択。柔らかい雪が掃けた走りやすい路面でタイムを狙う作戦をとった。予選6番手のヤリ・マティ・ラトバラは12番手スタートを選択した。最初のSSは、7日の夜にカールスタッド市内の競馬場に設けられた2台同時走行の特設コース「スーパーSS」。ここではヤリ・マティ・ラトバラが2番手、セバスチャン・オジェが9番手となった。本格的な林道コースがスタートした8日のSS2では、セバスチャン・オジェが一挙に総合首位に浮上し、ヤリ・マティ・ラトバラとともに上位を独占。ヤリ・マティ・ラトバラは最終的に4位となったが、セバスチャン・オジェは最終日の1日(日)までその勢いを保ち、フォルクスワーゲンにとって記念すべきWRC初勝利をもたらした。セバスチャン・オジェにとっては2011年以来となる通算8勝目、スカンジナビア地域以外の出身ドライバーとしては、セバスチャン・ローブに次ぐ二人目の快挙となる。「ラリースウェーデン」の最終SSは「パワーステージ」とされた。「パワーステージ」は、ステージ走行タイムの速いドライバー上位3名に選手権ポイントを与える(1位:3点〜3位:1点)特別なSS。セバスチャン・オジェはここでもトップタイムを刻み、ボーナスポイント3点を獲得。優勝の25点とボーナス3点の計28点を得て、ドライバーズポイントは合計46点となった。第2戦を終えた段階で、セバスチャン・オジェはドライバーズ選手権の首位に立っている。2台の「ポロR WRC」は、一切の不具合なく二人の選手の運転に応えました。セバスチャン・オジェは22カ所のSSのうち10カ所でトップタイムを刻み、ヤリ・マティ・ラトバラも1カ所でトップタイムを獲得。「ポロR WRC」はラリーの半分のSSでトップタイムを獲得するという速さを披露した。ヨースト・カピート (フォルクスワーゲン モータースポーツ ディレクター)「今日この日は、フォルクスワーゲンのモータースポーツ史にとって非常に大きな意味のある一日となるでしょう。参戦2戦目にして得たこの勝利は、我々にとってのマイルストーンになると確信しています。ラリースウェーデンのような過酷な環境においても、ポロR WRC はトラブルなく走り切り、オジェとラトバラは素晴らしい走りを見せてくれました。チームにおいても、すべての歯車がぴたりと噛み合い、スタッフ全員が完璧な仕事をしてくれました。私は心から彼らのことを誇りに思います」セバスチャン・オジェ (総合優勝)「最高の気分です。ゴールした瞬間、ポロR WRC の中で思わず叫んでいました。参戦わずか2戦目でフォルクスワーゲンの初勝利を獲得できるとは思っていませんでした。ポロR WRC にはトラブルもまったくありません。チームの皆が素晴らしい整備をしてくれたお陰です。ローブ選手が2番手だったので、私たちは最終日まで100%の力を出し切ったと思います。非常に難しいスノーラリーで、終始トップを走り切って勝てたことは非常に大きな自信になりました。また、スカンジナビア地域以外のドライバーで史上二人目のラリースウェーデン勝者であることに誇りを感じます」ヤリ・マティ・ラトバラ (総合4位)「チームにとって素晴らしい結果になったと思います。参戦初年度にもかかわらず、これほど早く勝利を獲得できたのは、非常に特別なことです。私自身も今回のラリーで表彰台を獲得したかったのですが、残念な結果となりました。ポロR WRC の良さを引き出すため、運転の方法を今後は少し変えていく必要があると思っています。セバスチャン・オジェは、勝利に相応しい速さを見せてくれました。私も彼に並べるよう、次のラリーに全力で取り組みたいと思っています」
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