2026年F1シーズン序盤のレギュレーションに対する批判が高まる中、4度のワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルが、競技の本質に関わる懸念を示した。ドライバーの評価は厳しく、観客の反応も賛否が分かれる現状に対し、ベッテルは「F1のDNAを失うべきではない」と強調。安全性やレース内容の改善を目的とした変更が進む一方で、スポーツの根幹が揺らぐ可能性に警鐘を鳴らした。
レギュレーション変更と高まる不満シーズン開幕後、2026年の新レギュレーションに基づくレースは、オーバーテイク増加という側面はあるものの、ドライバーからは否定的な声が多く上がっている。ファンの評価も分かれており、競技としての魅力に疑問が投げかけられている状況だ。こうした中、FIA、F1、そして11チームで構成されるF1委員会は、5月初旬のマイアミGPに向けて改善策を導入。安全性の向上や“スーパークリッピング”の抑制、そしてフルスロットル走行時間の増加を目的とした変更が承認された。ベッテルが語る「ドライバー中心」の視点スウェーデンのメディアの取材に応じたベッテルは、今回の変更について次のように語った。「少しだけ目を通した」「スポーツの観点から見て、彼らが対処しようとしているのがそこだといいと思うし、それによってドライバーがより満足するようになることを願っている。最終的に、ドライバーはこのスポーツの“顔”だからね。彼らがマシンを降りたときにアドレナリンに満ちていて、興奮していれば、それが画面の前の人やスタンドの観客の興奮にもつながる」「速さ」を競う本質への懸念現役時代から率直な発言で知られるベッテルは、現在のF1が抱える構造的な問題にも踏み込んだ。「スポーツ面については、その批判は理解できるし、僕も同意する。クルマを運転するのは楽しいかもしれないけど、レギュレーションやそれに伴う難しさのせいで、レースをする楽しさはそれほどでもないのかもしれない」「だからドライバーには共感するし、このスポーツの心臓でありDNAである部分――つまり“最も速いマシンで最も速いドライバーが勝つ”という本質を失わないことが極めて重要だ」競技とエンターテインメントのバランス今回の発言は、単なるレギュレーション批判にとどまらない。F1が「見せるスポーツ」として進化する中で、競技性とのバランスをどう保つかという根源的な問いを投げかけている。オーバーテイク増加や安全性向上といった改良は重要である一方で、それがドライバーの純粋な競争を損なうものであれば本末転倒となる。ベッテルの指摘は、現在のF1が直面する課題を象徴していると言える。なお、ベッテルは今回、環境問題や生物多様性への取り組みが評価され、2026年のパーフェクト・ワールド財団賞を受賞するためストックホルムを訪問。また、ブレイン&スパイン財団およびグランプリ・トラスト支援のため、ロンドン・マラソンへの出場も予定している。