4度のF1ワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルが、長年レッドブルを支えてきたヘルムート・マルコの引退表明を受け、心のこもった賛辞を贈った。マルコの退任は、ベッテル自身のタイトル獲得の歩みを含む、F1での20年にわたる一つの章の終わりを意味する。レッドブルは今週初め、モータースポーツ部門を20年間率い、厳格なドライバープログラムで知られたマルコが、アドバイザー職から退くことを発表した。
その間、82歳のマルコは20人のドライバーをF1に昇格させ、セバスチャン・ベッテル、ダニエル・リカルド、マックス・フェルスタッペンがグランプリウイナーとなった。ベッテルとフェルスタッペンはさらにその先へ進み、2人で計8回のワールドタイトルと124勝を積み重ねている。マルコの後継者候補と噂されたこともあったベッテルは、このニュースに驚いたと認めた。「正直、誰よりも驚いた」とベッテルはF1 Insiderに語った。「ヘルムートの今後の人生に幸多からんことを願っているし、十分にふさわしい引退引退だと思う。彼はレッドブル・レーシングとトロロッソの成功を築いた設計者だ」「ドライバー選考だけでなく、チーム編成や人事、戦略に関する重要な決断も、すべて彼を通じて行われていた」マルコの苛烈とも言える才能発掘のパイプラインを通じて、ベッテルは有望なジュニアからレッドブル初のワールドチャンピオンへと成長した。その後に続いた4連覇により、2人の名前はF1の歴史の中で永遠に結び付けられることとなった。ベッテルの賛辞は、その絆を映し出している。感謝の念と同時に、現代のレッドブル体制に対するマルコの計り知れない影響力への認識が込められている。フェルスタッペンへの連絡で明かされたマルコの胸中一方のマルコは、自らF1へ導き、レッドブルのもとで4度の世界王者となったマックス・フェルスタッペンに、この決断を伝えた時のことを語っている。フェルスタッペンは、アブダビで行われた会合で、マルコがレッドブルGmbHのCEOであるオリバー・ミンツラフに辞意を伝えたことを知らされていなかった。後にマルコは個人的にフェルスタッペンへ電話をかけたという。「普通の会話ではなかった」とマルコはORFに語った。「どこか物悲しさがあった。彼は、これほどの成功を収めるとは想像もしていなかったと言っていた」「すべてのものには終わりがあり、彼の将来の幸運を祈った。すると彼は、きっとどこかでまた会えるだろうと言ってくれた」