マックス・フェルスタッペンの長年のレースエンジニアであり、親しい相棒でもあるジャンピエロ・ランビアーゼが、アストンマーティンから上級職として引き抜きを受けていることが分かった。『The Race』が報じている。ランビアーゼの去就は、アブダビGP後にフェルスタッペンとの無線で感情的なやり取りがあったことから憶測を呼んでいた。タイトルには届かなかったレース後、ランビアーゼは「誇りに思っていい、胸を張れ」と語り、フェルスタッペンは「最後にもう一度、誰がボスかを示した」と応じた。
この無線と、ピットウォールで感情をあらわにするランビアーゼの姿が、2016年から続く関係に区切りがつくのではないかという見方を強めた。2026年に向け、同じ役割のまま継続しない可能性は想定されていたが、当初はレッドブル・レーシング内での配置転換が有力とみられていた。しかし関係筋によれば、ここ数週間で別の選択肢が浮上している。アストンマーティンが、ランビアーゼと上級職について協議を行ったという。ニューウェイとの再タッグはあるのか合意には至っていないものの、アストンマーティンはランビアーゼに対し、チーム代表またはCEO級のマネジメント職を打診したと理解されている。これは体制刷新の一環だ。昨年11月、エイドリアン・ニューウェイが2026年初めからチーム代表に就任することが発表された。アンディ・コーウェルがその職を退く決断をしたためだ。ただし、マシン設計への集中を最優先にしたいニューウェイが、どこまで運営面を担えるのかは不透明だった。カタールGPでニューウェイは、「最良のマシンを設計することが自分の原動力であり、そこから注意をそらしたくない」と語っている。運営を支えるシニア人材を横に置くのは自然な解決策であり、レッドブルで成功を重ねたニューウェイとランビアーゼの関係性は、その構図に合致する。仮にランビアーゼが加入すれば、ニューウェイが暫定的に代表職を担い、後に役割を再編する可能性も考えられる。一方で、レッドブルは組織的価値の高さから、引き留めに全力を注ぐはずだ。フェルスタッペンの賛辞アブダビGP後、フェルスタッペンは、私生活上の困難でオーストリアとベルギーを欠場したランビアーゼを称えた。「感情的な一年だった。結果のことは忘れてほしい。詳しくは言えないが大変だった。それでも、あれほど情熱的な人と一緒に仕事ができて本当に幸せだ」仮にランビアーゼがレッドブルを離れる、あるいは別職に移る場合、フェルスタッペンは今冬さらに陣営の中核を失うことになる。モータースポーツアドバイザーのヘルムート・マルコは2025年限りで退任見込み。さらに、チーフメカニックのマット・コーラーはアウディへ、パフォーマンスエンジニアのトム・ハートはウィリアムズ行きが噂されているほか、コントロールエンジニアのマイケル・マニング、エンジンエンジニアのデビッド・マートも離脱予定だ。2026年の有力候補もしランビアーゼが退団、もしくは組織内で役割変更となれば、2026年にフェルスタッペンを担当する最有力は、ダニエル・リカルドの元レースエンジニアで、昨季レッドブル・リンクとスパで代役を務めたサイモン・レニーになるとみられている。