F1ジャーナリストのジェームス・アレンは、レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンを、7度のF1ワールドチャンピオンであるミハエル・シューマッハに重ね合わせた。アレンは元フェラーリ代表のロス・ブラウンがかつて語ったエピソードを引用し、フェルスタッペンの“勝てないレースでも勝つ”資質を称賛している。
28歳のフェルスタッペンは、2025年シーズン後半に入り、タイトル争いを再び盛り上げている。モンツァとバクーで優勝し、シンガポールとザントフォールトで2位を獲得。中盤戦で苦戦したレッドブルだが、近戦ではマクラーレンに肉薄する速さを取り戻した。アレンはCameroon F1にこう語った。「ロス・ブラウンはかつてミハエル・シューマッハについて“彼は勝つべきレースを勝つだけでなく、勝てないはずのレースでも勝つ。それが偉大なドライバーの証だ”と言っていた。マックスにも同じことが言えるんじゃないか?」フェルスタッペンは現在、シューマッハに続いて史上2人目となる5年連続ドライバーズタイトルを目指しており、残り6戦と3スプリントを前に、首位オスカー・ピアストリとの差は63ポイントに縮まっている。ローラン・メキース「フェルスタッペンの感性がRB21の進化を導いた」レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースは、フェルスタッペンがマシン開発に果たした大きな貢献を称えた。モータースポーツウィークの取材に対し、メキースは次のように語っている。「ミルトンキーンズでは全員がレース1から今に至るまで、クルマのポテンシャルを解き放つために懸命に働いてきた。ここ数週間の進歩は本当に素晴らしい。決して諦めなかった全員の努力の賜物だし、マックスの感性が我々に新しい方向を示してくれた。その結果、パフォーマンスを引き出す道が見つかった」さらに、アップグレードの進化についてこう付け加えた。「単一の“魔法の弾丸”なんてものはない。多くのアップデートを重ね、さまざまな方法を試してきた。それらが組み合わさって、今ではほとんどのサーキットで競争力を持つパッケージになった。シーズン初期のアップグレードを今と比べて“もしあの時こうしていれば”とは考えない。我々は過去ではなく未来を見ている」フェルスタッペンは、RB21の勢いを維持しながら、シーズン終盤で逆転タイトルを狙う。フェルスタッペンが“勝てないレースを勝つ”理由ジェームス・アレンの指摘は、フェルスタッペンが持つ真の強さを浮き彫りにしている。彼は単なるスピードドライバーではなく、戦略的状況判断とメカニカル感性でチームを導く存在だ。RB21の開発では、セットアップの方向性を見極め、タイヤマネジメントの改善や空力バランスの最適化にも関与した。メキースが「マックスの感性」と表現したのは、まさにこの技術的洞察力を指す。中盤戦の不振から短期間で復調した背景には、フェルスタッペン自身が“マシンを感じ取り、合わせていく”能力を持っていることが大きい。そして、その姿勢こそがロス・ブラウンがシューマッハに見いだした「勝てないレースを勝つ男」と同じ系譜にある。残り6戦+3スプリント。彼がこの逆境からタイトル5連覇を成し遂げれば、シューマッハと同列に語られる“F1史上屈指の完全支配者”という評価は、もはや揺るがないだろう。Source: sportskeeda.com