マクラーレンがイタリアGPで見せたチームオーダーに対し、マックス・フェルスタッペンは困惑を隠さず、自分の立場を明確に示した。ティモ・グロックは、現ワールドチャンピオンなら「絶対にやらなかった」と語っている。イタリアGPでは、マクラーレンがオスカー・ピアストリに対し、遅いピットストップでポジションを失ったランド・ノリスに2番手を返すよう指示し、注目を集めた。
フェルスタッペンの後方で2番手を争っていたノリスとピアストリ。オーストラリア人ドライバーのピアストリが先にピットへ入り、ノリスはエンジニアのウィル・ジョセフから「アンダーカットはない」と言われ、了承していた。しかし、ノリスのピットストップは左フロントタイヤのナットを締める際に問題が発生し、4秒も停車してしまった。その結果、ノリスはチームメイトの後方でコースに復帰した。すると、ピアストリにはポジションを返すよう指示が出され、彼は反論した。「つまり、スローピットストップはレースの一部だと僕たちは言っていたのに、ここで何が変わったのかよく分からない。でも、本当に僕にやらせたいなら、やるよ」と答えた。最終的に彼は従い、ノリスを前に行かせて2番手を譲った。レースをリードしていたフェルスタッペンは、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼから後方の状況を伝えられた。ランビアーゼ:「ノリスとピアストリがポジションを入れ替えたよ、マックス」フェルスタッペン:「はっ! スローストップだけで?」ランビアーゼ:「僕らの関知するところじゃないけど、チャンピオンシップの観点でドライバー間の公平さを保つためだと思う。前方に集中してくれ」フェルスタッペンはレース後のFIA会見で、その時の反応について問われた。「君たちは面白い答えを期待しているのは分かっている。でも、それは僕の問題じゃない。また言うけど、僕の問題じゃない。話さない方がいい」と語った。「マックス・フェルスタッペンなら絶対にやらなかった」しかし、レッドブルのドライバーが口を閉ざしたとしても、ランビアーゼへの反応は、もし同じ状況に自分が置かれた場合にどうするかを事実上明らかにした。Skyドイツに語った元F1ドライバーのティモ・グロックは次のようにまとめた。「フェルスタッペンなら絶対にやらなかった」一方で、グロックはノリスに責任がない遅いピットストップへのマクラーレンの対応は「フェア」だとしながらも、チームに注意を呼びかけた。「気を付けるべきだ。すぐに難しい状況に陥る可能性があるからだ。特に次のレースでまた同じことが起きた場合にはね」彼は、ドライバーズ選手権のリードをモンツァで31ポイントに減らしたピアストリにとって、この判断が悪い結果を招かないことを願っている。「彼は非常に迅速にそれを実行し、すぐに入れ替わった。シーズン終盤になってまた思い出すことがないといいけどね」とグロックは付け加えた。「チームのミスが最終的にワールドチャンピオンシップを決めるのではなく、純粋にドライバーのパフォーマンスで決まるべきだ。マクラーレンにはドライバー同士でコース上で決着をつけてもらいたい」ピアストリはFIA会見で、それがタイトルを失う原因になった場合、従ったことを後悔しないかと問われた。「今日に関しては、公平な判断だったと思う」と彼は主張した。「ランドはレース全体を通して前にいたし、彼に非はなかった。僕にとってはそれで問題ない。究極的には、誰がチャンピオンシップを獲得しても、自分自身のパフォーマンスやコントロールできる事柄によって勝ったと思いたい。今日はそれができる状況ではなかった」「僕たちは何度も言ってきたけど、成功のチャンスは今年だけに限りたくない。来年は大きなレギュレーション変更があるし、僕たちがどれだけ競争力を持つかは分からない。他の誰が競争力を持つかも分からない」「でも、究極的には、僕たちがF1ドライバーでいる限り、できるだけ長くチャンピオンシップを争えるチャンスを持ちたい。僕たちは二人とも長期にわたってマクラーレンと契約しているし、僕たちにこの機会を与えてくれる人々を守ることはとても重要なんだ」「だから、こういうときに自分を二番手に置くことは、十分にできることだと思う」
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