2019シーズン前半戦を終え、破竹の21戦連続入賞を続けているマックス・フェルスタッペン。この安定性は若くして才能が最盛期に達したことを意味しているのだろうか?3-5-2-5-3-2-1-2-3-3-4-4-4-3-4-5-4-1-5-1-2...このランダムな数列は“過去21レースにおけるマックス・フェルスタッペンの決勝順位”だ。
1年前のハンガリーGP決勝をエンジントラブルでリタイアしたのを最後に、この21歳のオランダ人ドライバーは21戦連続トップ5フィニッシュを記録している(2019シーズン ハンガリーGP終了時点)。フェルスタッペンがドライブするマシンは、2018シーズンはコンストラクターズ総合3位、そして2019シーズンも同じくコンストラクターズ3位(ハンガリーGP終了時点)だが、彼のパフォーマンスはチャンピオンドライバー級だ。フェルスタッペンは常に速く、乗れている時は手がつけられないが、この “乗れている時” がキーポイントだ。過去12ヶ月のフェルスタッペンに “乗れていない時” は存在せず、安定したドライブが続いている。ここで浮上してくるのが、「フェルスタッペンはF1ドライバーとしてのピークを迎えたのか?」という疑問だ。これは答えを出すのが非常に難しい疑問だ。一般的にドライバーの速さは20代中盤から後半にかけてピークを迎え、テクニックは20代後半から30代前半にかけてピークを迎えると言われている(純粋なスピードより経験とレースクラフトが上回るようになるため)。このような定説とは異なり、フェルスタッペンはまだ21歳だ。しかし、差し引いて考えるべきポイントがある。フェルスタッペンはすでにF1で5シーズン目を迎えており、シーズン後半のオースティンでGP出走100回目を迎える。対して、現ワールドチャンピオンのルイス・ハミルトン(メルセデス)は22歳の誕生日を過ぎてからF1デビューを飾っている。時代は変わったのだ。2016シーズンのワールドチャンピオン、ニコ・ロズベルグは自身のYouTubeチャンネルで次のようにコメントしている。「僕に言わせれば、マックス・フェルスタッペンは現役最高のF1ドライバーだ。最近に限ればルイス・ハミルトンをわずかに上回っている」ニコ・ロズベルグは続けてフェルスタッペンの強みは天賦の才と自信、コミットメントにあるとし、さらには “若さと経験” という通常では見られない組み合わせも重要なポイントに挙げている。ニコ・ロズベルグの分析は、レッドブル・レーシングのチームプリンシパルを務めるクリスチャン・ホーナーが今シーズンのオーストリアGP直後に Autosport へ向けて発したコメントと非常に近い。クリスチャン・ホーナーは、フェルスタッペンがハミルトンをわずかに上回っている可能性があるとし、次のように続けた。「キャリアベストフォームのフェルスタッペンは、ほぼ間違いなくここ1年においては世界最高のドライバーだ」「その証明? マックスは最強のマシンに乗っていないが、昨年のモントリオール以降のリザルトを見れば分かる通り、彼はそのマシンで何度も光るパフォーマンスを見せた上に、事実上ひとつもミスを犯していない」さらにホーナーは、フェルスタッペンの成長の要因はダニエル・リカルド(2019シーズンからルノーへ移籍した元チームメイト)の陰から脱した点にあるとし、次のように続けた。「ダニエルは個性豊かで素晴らしいユーモアセンスの持ち主だ。マックスはダニエルの陰にやや隠れがちで、冗談好きの弟のような存在だ」「ダニエルがチームを去ってから、マックスはリードドライバーとしての職務と責任を自覚した。今のマックスの成熟度、目標、目的意識はこれまでとはレベルが違う」マックス・フェルスタッペンが2019シーズンのハンガリーGPで獲得したキャリア初のポールポジションには世間の多くが考えるよりも大きな意味があった。予選でのパフォーマンスはそれまでのフェルスタッペンの弱点だった。弱点という表現が強すぎるなら、単純に予選は彼の強みではなかった。一般的に、予選でのパフォーマンスを決めるのはマシンのコントロール能力ではなく、アウトラップでタイヤを正しく作動領域に持ち込み、フルアタック1周分を管理する能力と言われている。天賦の才よりも経験が左右するのだ。トロ・ロッソのテクニカルディレクターとして2015シーズンのフェルスタッペンを間近で見守ってきたジェームズ・キーは2016年にF1 Racing magazineの取材に応じ、フェルスタッペンが改善すべき点は予選ワンラップのペースアップにあると指摘している。「予選のドライバーは新しいタイヤセットを履くたびに0.3〜0.4秒を削り取っていく必要がある。これは簡単ではない。経験がものを言う。マックスは、デビューシーズンで見せたパフォーマンスにこの部分を上乗せして、さらにコンペティティブなドライバーへ成長する必要がある」
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